‡ZERO‡

Act.8 白夜を撃て
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空が割れ、その澹から禍々しい赤が垂れ込む。
人々はそれに気づき、僅かな恐怖を覚えたが、それはすぐに閉ざされた。
しかし、すでに世界に変化は起きていた。
次元の門を通り、小さな禍が世界に降る。やがて禍は黒い塊となり、世界の片隅で絶望の産声をあげた。
狂気じみた笑い声を上げ、禍は強い力へと近づいていく。


「あ、あは、漸く…漸くだ!」


全てを奪われたのだと禍は笑った。
白き羽を纏い、金色の髪を靡かせる紅い神。青色の瞳は静かな怒りを湛え、こちらを見遣る。
復讐の時が漸く来たのだと、歓喜に悸き、禍は甲高い笑い声をあげた。
断罪された身体は消滅し、精神は千々にされた。
長い時を経て、精神を繋ぎあわせ、世界の門が開くのを待っていた。彼の神が支配する次元という扉が開くのを。
漸く訪れた復讐の時。
不気味な笑い声をあげ、禍は近くにいた人間の手を引き、絶望へと引きずり込んだ。







【Act.8 白夜を撃て】
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