‡ZERO‡

Act.7 朱雀、覚醒
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この世界では見た事もない機械ばかりだ。夢物語で出てくるような機械さえある。
それがデルタ帝國軍の力を如実にあらわしていた。
エイプリルは初めてみるその建物の造りと機械に、にこにこと笑みを零した。


「あらあら。変わった造りね。これが魔科学って代物なのかしら」

「え、エイプリルさん…。なんで変な機器に俺を押し付けてるんですか」

「え?なぁに、聞こえないわ」


近辺にある機器に、副隊長の頭をぐりぐりと押し付けながら、エイプリルはにっこりと笑みを浮かべている。


「うーん…仲良しさん、なんですよねぇ?」

「おめでてー頭だなテメェは」


ホウプが零した言葉に、団長は煙草の煙を吐き出しながら答えた。先に行くぞと言い歩き出した団長の背を、ホウプは慌てて追う。
奥へと進んでいくと、機械が集まった部屋へと出た。
本当にただ情報を集めるためだけの部屋なのだろう。不必要なものが一切ない。ここに来るのもほぼ一本道だった。
機械に手を翳し、機械の電源をいれると薄暗い部屋に青白い光が燈る。
空中で指を這わすと、ディスプレイが浮き上がり大量の情報が溢れ出した。
真剣な面持ちで機械を操作するホウプを見遣り、団長はゆっくりと煙草の煙を吐き出した。


「朝になったら出る。それまでに出来るだけ情報を集めろ。見張りは俺達がやっといてやる」

「お願いします。それと……ありがとうございます」


ホウプの言葉に団長はくいっと煙草を上げて答えると、踵を返し薄暗い闇の中へ消えていった。
暫く通路を戻ったところで、ふと、団長は立ち止まり、ホウプが必死になって機械を弄っているだろう部屋を振り返った。
先程と何も変わらない。そう、変わっていないハズだ。
気のせいかと、再び歩みを進める。しかし、ざわつく不快感が足元にこびりついて離れない。
胸糞悪ぃと、団長は思い切り煙草の煙を肺へ送り込んだ。
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