‡ZERO‡
□Act.2 Play the Clown
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「オイ、クソガキ。任務だ」
「はえ…?」
賭け事に興じて、漸く今朝帰ってきた団長から発せられた言葉。予想外な内容に、ホウプは朝食が乗せられた盆を落としそうになった。
きょとんとしながら、机に朝食を置く。ついでに持ってきた自分の朝食を、その向かいに置いて、そこら辺にあった椅子を引っ張ってきた。
それに座り、団長と向かい合いながら、ホウプは小魚を頬張った。
「何の任務ですか?」
団長は、今朝団員総出で釣りあげた小魚を深刻な面持ちで睨んだまま微動だにしない。
流石に異変に気が付き、ホウプは団長の顔を覗きこんだ。
思い返せば、団長は昨日から変だった。普段から煙草依存症だというのに、一段と量が多い。さらに、苛々したように机を指で叩き、足で床を叩く。酒池肉林の酒池だけ完成したのではないかと危惧するほど酒を飲む。
思い切せば益々心配になり、ホウプは団長が銜えている煙草の火に焼かれそうなほど顔を近づけた。
「団長………?」
「………………」
「だーんちょ……」
ゆらりと伸びた手がホウプの頭を掴んだ。圧力をかけられ、抵抗する余地すらなく机に無理矢理頭を押し付けられる。
なんとか、食器だけは避けてくれたが、駄目押しとばかりに机にぐりぐりと顔を擦り付けられた。
あまりの痛さに、眦に涙がたまる。
「痛い痛い痛い!!!」
ぐっと、後ろで纏めていた髪を掴まれ、無理矢理顔を上げさせられた。
なんなのだろうか。少なくとも、自分が団長に暴力を奮われるような失態は侵してはいないはずだ。そう思い、ホウプは、きっと団長を睨む。
「酷いです、痛いです!!」
「ああ?」
「い・た・いですッ!!」
そう抗議すると、団長は、飽きたと言わんばかりにホウプから手を離した。
だが、代わりにデスクの下から伸びる団長の足が、ホウプの足を捕えて、椅子ごと引きずり倒す。
痛さに悶絶する暇もなく、さらに団長の靴底で踏み付けられる。
「あああッ、クソ!!胸糞ワリィ…!!」
「だ……ん、ちょ……。も、無理……あ……吐く……!!」
「うっせぇ。吐きたけりゃ吐け。床は汚すんじゃねぇぞ、クソガキ」