SECRET

□日課
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退屈だった毎日

テニス以外に何も楽しみがなかったからのぅ…

でも見つけたんじゃよ

やっと、

俺の退屈な日々を埋めるもの


* 日課 *

部活も終わり、みんな帰った後の部室に残る俺と柳生。
今日は俺達が部活の日誌の担当。
目の前にはペンを握り、日誌に目を通している柳生。
それを机に肘をついて眺めている俺。

−暇じゃのう‥

他の部活生達も片づけをして帰ったから本当に静か。
目の前に居る奴は、さっきから話しかけても相手にしてくれない。
俺よりも日誌のほうが好きなんかのぅ‥
まぁ、だからと言って黙っている俺じゃないがな。


『なぁ柳生』
「何ですか?」

返事はするが相変わらず日誌しか見ていない柳生。


『チューしようか?』

「なっ!?」

俺の言葉に驚いたらしく日誌から顔を上げ、握っていたペンを落とした柳生。
思ったとおりのリアクション、それ以上か。

俺は椅子から腰を上げ、座っている柳生の所に行き、顔を近づけた。
が押し退けられた。
「に、仁王君、止めて下さい‥」

本当に素直じゃないのぅ。だったら‥

『なんじゃ…俺の事が嫌いか?』
柳生は首を横に振る。
『だったらしてくれてもよかろう?』
柳生は先程より顔を真っ赤にし、どうしていいか分からないような切ない表情で俺を見つめる。
この顔が可愛くて仕方がない。
−まるで変態のようじゃな、俺(苦笑

本当はもっとその顔を見ていたかったが、徐々に柳生の瞳が潤んできたように見えたのでやめた。
『はは、からかいすぎたようじゃのう。』
「‥本当ですよ‥」
ちょっと拗ねた様に見えたがおいで、と腕を広げると座ったままだが直ぐに顔を埋めた。
本当に可愛い奴じゃ。
柳生を抱きしめたまま、頭を撫でる。
『で、チューしてくれんのか?』
俺の胸に埋めていた顔を上げてまた、さっきの顔した。
−その顔は反則じゃて。
…でも、もう少し虐めてやるか。
『そうか…やっぱり無理かのぅ。だったら柳生とは一生チュー出来んなぁ…残念じゃ』
何かを言いたそうに俺を見つめる。
『んー?』
柳生は少し躊躇いながら俺のネクタイを引っ張り軽いキスをした。
『よく出来ました』
まぁほんの2、3秒じゃったが柳生にしては頑張ったな。
『ご褒美ナリ』
そう言って唇を重ねた。

柳生をからかう。
それが最近の俺の日課。
…何じゃ?最低な男だと?
待ちんしゃい。こんな事は柳生以外、誰にもやらん。
柳生だから、
好きな奴だからこそ、からかいたくなるんじゃよ。



fin

■あとがき
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