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□肝試しトリップ!!
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「う、うーん……」
「あっ、気が付いた!!」
少し頭痛がするものの、何とか体を起こす。…私、なんで倒れてるんだっけ…?
ぼんやりと考え込む、色素の薄い金髪のセミロング美人ーーーアンリは周りを確認するため頭を上げた。
「大丈夫?」
「うわ、美人……!!きゃー♪」
「きゃあぁぁぁ!?」
アンリは突然抱き付かれ再び床に転がる。抱き付いてきたクリーム色のカチューシャ付きの頭ーーーナナミが頭をアンリにすり寄せている。
「あ、あの…ちょっと…」
「…やめなさいナナ、困ってますよ」
「はうっ、く、苦しい〜…」
ナナミの首根っこを掴むのは赤い夕陽色の髪で顔半分隠している背の高い男ーーーレイヴェルだ。「ナナが驚かせてごめんね」といいながら手を差し出すのは茶金髪の髪を下ろしている女ーーーユリ
「あ、ありがとうございます。私はアンリです」
「私はユリ、でそっちの子がナナミで赤い髪の方はレイヴェルだよ」
「ナナって呼んでね、よろしく〜♪」
ユリとレイヴェルは優しく微笑み、ナナミは笑顔で手を振る。アンリもニッコリ笑ってユリの手を掴み立ち上がった。
「あの…ここは?」
「うーん、どこかの洋館みたい。私達もよくわからないんだ」
首を傾げて困ったように言うユリ。…というかなんかここ、薄暗いしホラー映画みたいな棺桶並んでるし…なんていうか雰囲気おどろおどろしい。な、何か出そうな…
「おーい!!戻ったぞー!!」
顔を引きつらせるアンリをよそに、また知らない声が聞こえて顔を向ける。銀髪の女が歩み寄ってきた
「おっ、あんた目ぇ覚めたんだな。」
「大丈夫か?お前も気が付いたらここにいたって感じか?」
「アンリ、女の子の方がギンで男の子の方がラシアだよ」
「あ、うん。私はアンリ、よろしくね」
「よろしくな」と言いながら若干顔が強ばってるのを隠そうとしている黒髪の赤いコートーーーラシアと、緊張感無く笑う銀髪のポニーテールに着物の女ーーーギンが手を上げる。ユリはラシアを見て聞いてみる
「何かわかった?」
「ダメだ、窓も閉まってるし出口がそこの扉だけだ」
「そこから出られないのですか?」
アンリはごつい装飾の両手開きの大扉を見るが、ラシアは首を振る
「これが閉まってて開かねーんだ。」
アンリの問いにラシアがため息をついて答える。そこにギンが笑いながら追い打ちをかけるような事を言い出した。
「にしても、おっかねぇ雰囲気だな。なんか出るんじゃねぇのか?ここ」
「ででで出るって………」
「やめろナナ!!ここは普通の洋館だ!!何も出ねぇ絶対に、絶・対・に!!!」
「ふ、二人とも落ち着いて!!私だって怖いんだよ?」
「こ、怖い要素なんてねーだろ!!だだだ誰がビビってるよ!!!」
「いや思いっきりビビってるでしょ!?」
アンリがツッコミを入れつつ、ビビってるラシアとナナミの肩を叩こうとしたその時ーーー
ガタン!!と突然近くにあった棺桶の扉が弾き出され、そこからガイコツが飛び出してガラガラと崩れだした。
「なっ…!?」
「キャァァァァ!!?」
「わっ、アンリ!?」
「うわっ、びっくりした!!!なんだ!?」
上からレイヴェル、アンリ、そしてアンリに抱き付かれるユリ、ギンである。そして…
「ギャァァァァァ!!?」
「いやァァァァァァァガイコツーー!!!」
ホラー系が弱点属性のラシアと根っからのヘタレっ子ナナミはそれぞれ絶叫する。しかもあろうことかどこかへ走り出してしまった。
少し呆然として
「ちょっ、えぇラシア!?ナナ!?」
「おィィィィィ!!!てめぇらどこ行く気だァァァァ!!!」
「嘘でしょ!?二人とももう見えなくなっちゃったし!!!」
「まずいです!!見失いました!!」
口々に言ってる間に、ラシアとナナミが行方不明になってしまったのだった。
by美鈴
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