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□肝試しトリップ!!
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逃げ出してしまったラシアとナナミを捜索すべきなのだろうが、あのガイコツみたいなものがまた出てくるのではないかと思うと体が強張る。
「とりあえず、あの2人を捜しましょう」
「だな。そこらで喰われそうになってるかもしれねぇし」
「ギン、不謹慎だよ」
だがあり得そうなのがまた怖いところである。
喰われていないことを祈りながら洋館内を捜す。自分たち以外の気配が全くしないのが、広い洋館内だと不気味でたまらない。
「あ、部屋の中も見てみた方がいいかも」
「逃げ込んだってこともあるしね」
言って、ユリは近くの扉を見る。趣向を凝らした扉。ドアノブも洋館に合った金色。色がはげていなければもっと綺麗だったろう。
ドアノブを捻り、開ければギギギ……と不気味に音が響いた。怖い、怖すぎる。
「うわっ……」
「まさに、“出そう”ですね」
レイヴェルの一言に、アンリは言葉を失う。
破けたカーテン、割れた花瓶、枯れた花。ページが破られた本がそこら中に散らばり、絨毯には何だか嫌な予感がするシミが幾つもある。
このシミがあのあかーいアレでないことを祈るばかりだ。
「明かりもあるのに出てこないってことは、いないのかな?」
「物音もしねぇ――」
ガタガタ、ガタガタ……。
「きゃぁああっ!」
「あ、アンリっ、大丈夫ですか?!」
「物音したし!! 誰かいんのか?」
身構える4人。
刹那、暗がりにあったクローゼットから現れたのは、今はもう姿をお目にかからなくなったあの黄色い服の鹿だった。
「ち、地デジカ!?」
「懐かしいですね。一昨年の夏でしたか?」
「暢気に思い出に浸ってんじゃねぇ!!」
「こ、こっちに来てる…っ!!」
アンリの言葉でようやく地デジカが自分達をターゲットにしていることに気付く。
近づく地デジカ。あまりにシュールで逆に怖い。こいつ、暗いとこで見ると案外ホラーだ。
とにかく逃げようと急いで部屋を出、全力疾走する。
が、あの地デジカ、足が速い。無駄に速い。こんなとこにいないで陸上選手になればいいというくらいに速い。
「だ、駄目っ……追いつかれる…っ」
運動があまり得意ではないアンリ。足がもつれ始め、他の3人との距離も広がっていく。
そして背後には、あの鹿。
ああ、食われる。
「どわぁっしょい!!」
「えっ!?」
声にびっくりして振り返れば、転んで頭の部分が外れてしまった地デジカ。明かりがあるからまだ良いが、無ければその頭、生首にしか見えない。
頭の部分が外れた不完全体地デジカが顔を上げると、ユリがまず声を上げた。
「ラシア、何やってるの?」
「んなこと知るか!! 俺が聞きたいくらいだっ!!」
「まさかラシアにそんな趣味があったとは、新事実ですね。明日の朝刊一面に掲載してもらいましょう」
「結構だ!!」
シュールな地デジカの正体は怖がりのくせにそれを隠そうと必死な、ラシアその人であった。
「……ラシア、悪趣味…」
「おーいアンリ、それ結構傷つくんだけど」
「まっ、仕方ねぇだろ。なぁ、地デジカ?」
「地デジカじゃねぇええっ!!」
いや、着てますから。
「そういえば、ナナは? 一緒に走ってたよね?」
「知らねえ。気づいたらこれ着た状態でクローゼットに押し込められてたしな」
「空白の時間に何があったの」
つくづく着ぐるみとご縁があるラシアを見ながらユリは呟く。
「あ、でも、なんか誰かが話してんの聞いたな。キティちゃんがどうとか」
「地デジカの次はキティちゃんですか」
「奴らは遊園地の経営者かって話だ」
何はともあれ、ラシアを加えた5人は残りの行方不明者ナナミの捜索を開始した。
by 玲夜
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