Torn One Page〜DDFF〜
□Page3 看病
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「珍しいなぁ…」
自分達用のテントに向かいつつ、ユリは一人呟いた。ギンが起きてこないため、起こしにきたのだ。
それにしても珍しい、早起きのギンが寝坊するなんて。いつもは誰よりも早く起きて朝ごはんとか作ってたりしてるのに。今朝は全員支度を終えても起きてこない。
「ギン、起きてる?入るよ」
…………
中から返事がない。ユリは中を覗いてみようと天幕をあげる。ギンはダンボールの前に座って何かしていた。
「…ギン?どうし
「円周率3.14をπに置き換えて計算する。円の面積=半径2乗π、続いて円周=直径×π。また、円柱の体積h
Σえぇ!!?ちょギン!!?」
異常過ぎる光景にテントに入り、ギンの元に駆け寄り肩をつかむ。
おそらくレイヴェルの物だろう、分厚い本を開き、虚ろな目で呪文みたいに数式を呟いている。
「ギンどうしたの!?ねぇギン!!!」
「なんだい、どうかしたのかいユリ殿下」
「ユリ殿下って何!!?どうかしてるのギンだから!!正気に戻ってギンーーー!!!」
口調から何から、全てがおかしいギンの様子に、ユリまで平静を失いギンの肩をガタガタ強く揺する。
「あっはっはあまり揺らさないでくれまたえユリ王妃、頭がクラクラするよ」
「慣れない勉強なんかするから…ってわっ!?」
突如ギンは気を失い、ユリは慌てて支える。ギンの体はびっくりするほど熱く、汗をびっしょりかいていた。
「これってまさか…」
試しに額を触ってみると、予想通り熱があった。典型的な風邪である。
「大変…!!みんな!!ちょっと来てギンが!!」
ユリはギンを支えたまま、外にいる仲間たちに声をかけたのだった。
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