Torn One Page〜DDFF〜
□Page6 演劇
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「で、どんな話だ?」
「うーん…読んだ感じ、主人公の男の子とお姫様の身分違いの恋、かな」
「わぁお姫様!?じゃユリがいい!!」
「ええっ!!?」
まさかナナミに自分を推薦されるとは思わなかったユリは、素っ頓狂な声で驚いた。それにジタンも同意したように頷く
「うん、俺もユリちゃんがいい!!ギンじゃ口調おかしいしユリちゃんのが絶対合ってるって」
「で、でもナナとかは?私よりずっと女の子らしいよ?」
「ナナは子供だろー?小さいし」
「む…別にいいもん身長無くたって。ちっちゃくていいもーん」
「身長じゃねぇよ、胸の話だ」
「なにそれ、喧嘩売ってんの?ねぇ」
ナナミは真顔で思いっきり睨み付けるが、ジタンに軽く流されてしまった
「んじゃ、ユリがお姫様は決定だな!!ちなみに俺が主役だからよろしく!!」
「うう…大丈夫かな……」
横ではバッツが不安そうなユリに、腰に手を当てて得意気に言った。スコールは神妙な顔で台本を黙って眺めていた。
「おい、俺の役の王子ってなんだ。猫の王子か?」
「そんなわけあるか、お前は和平のために結婚迫る悪役だよ」
「なんだその間抜けな役は、何で俺が…こういうのはラシア辺りの役目のはず」
「テメェ遠回しに俺を間抜けっつってんのかコルァ」
心底悔しがるスコールに一発殴ってやろうかと拳を構えるラシア。ジタンは苦笑いで宥め、ガッツポーズする
「よーしそれじゃ俺達で演劇成功させるぞー!!」
「「「おー!!」」」
ジタンの声に合わせてバッツ、ナナミ、ギンが拳を突き上げたのだった
話の内容を簡潔に纏めると、主人公が国の姫と恋に落ちるもの。しかし悪役である姫の父親が反対し、敵国の王子と政略婚させ、和平交渉の種にしようとする。そのため主人公の邪魔をする…最終的には二人は上手くいかず死んでしまう悲恋物だ
「…これ内容的に励ます感じじゃなくね?」
劇の練習をすることになり、それぞれ台本を見て覚えていると、ギンが今更な事をジタンに聞いた
「だってこれ悲しい話だろ?ほんとに励ませるのかよ」
「この話ティナちゃんが興味あるみたいだったんだよ。それに面白そうだろ?…あ、別にいいとこ見せようとかユリちゃんと近付きたいとかそんなやましーい事は考えてないからな。断じて!!」
「それだろが、それしかねぇだろがこのアホ猿が」
ギンはスパーンとジタンにツッコミと平手打ちを入れる。
「大体何なんだよ私の役!!何で王の配下なんだよ!!窮地に陥った主人公を助けるヒーローギンさんがいい!!」
「ねぇよそんな役!!仕方ないだろ?いいじゃねぇか」
「だってこいつの台詞おかしいだろ、『怪しい男を捕まえたでよ!!』ってどこの方言だよ。何でここだけ口調おかしいんだよ」
「あ、ほんとだな。…じゃ台詞変えていいぜ」
「よっしゃ、わかった。…『おい、その辺にいた猿捕まえたぜ。報酬としてオムライス寄越せ』」
「Σ思いっきり意味変わってんじゃねぇか!!何で配下が王に恐喝してんだよ!!!つーか猿って俺!!?」
演技練習になってるようななってないような事を続けつつ、ギャーギャー騒ぐギンとジタンだった。
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