Torn One Page〜DDFF〜

□Page9 喧嘩
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…キリノは"召喚するもの"ともう一つ、呼び名があった。

"異世界の記憶を持つもの"

おそらく異世界というのは、私たちの元いた世界のことじゃないかと思う。
私の元いた世界の記憶を持つ召喚石………もし手に入れたら元の世界の記憶も……彼のことも思い出せるかもしれない。



「キリノ、ですか?」



昼時、イミテーション討伐から帰ってくるなり、ユリはテントにいるレイヴェルの元へ向かっていた



「うん、あれから何かわかったことあるかなって」



「残念ですが、手掛かりなるようなことは何も……」



「…そっか」



「ただ、キリノを持つ者が何も行動を起こさないのが気になります。強い力を得ているなら、このコスモスとカオスの闘争に何らかの影響を与えるはずですが…その傾向も見られません。

しかもキリノで召喚されていると思われるのは僕たちです。僕たちの中の誰にも異変が見られない辺り、行動を起こさないつもりかもしれません」



「わざと使わないってこと?じゃ何でキリノを隠すの?」



「そうですね……この戦いに興味がないか、あるいは……キリノを自分以外の誰にも奪われたくないのか……」



ただそうなると、キリノを持つ者は僕達を利用するのではなく、護ろうとしていることになる。それでは辻褄が合わない

僕達を護ろうとしているなら、召喚をやめて元の世界に返せばいいからだ



「どちらにしても、キリノの情報が少ない今はあまり目立った行動は避けるべきです。キリノに関係している僕たちから動くのは危険です」



誰もが欲しがっているキリノの被召喚者である自分達が狙われている。ギンの一件がいい証拠だ

しかし、ユリはレイヴェルの言葉に歯噛みし、拳を握りしめた

…じゃあ、いつになったら私の記憶は元に戻るの?



「それじゃだめだよ。そんな悠長なこと!!」



思わず声を荒げてしまい、はっとする。レイヴェルは少し驚いたように、目を丸くした



「あ、いや…」



「ユリ、何か焦っているのですか?」



「別に何でもないの……ごめん」



レイヴェルの心配そうな視線から目をそらし、ユリは背を向けて歩き出した。



「どこへ?」



「コスモスのところ。あれから何かわかったことないか聞いてくるよ。」



「……………」



……このままじゃ、記憶は戻らないし、あの夢の中の男も思い出せないままだ。
自分で動かなきゃ……



ユリは胸に下げたペンダントを強く、握りしめたのだった














「…あ」



「お、いたいた」



コスモスの元へ向かおうとしていたその時ーーーラシアとクラウドに遭遇した。ユリは僅かに首を傾げる



「私に何か用?」




「さぁ行けラシア」



「うわっ!?」



クラウドに背中を押し出され、ラシアは勢いよく振り返る



「いやいやいやちょっと待て、俺が聞くっておかしいだろ。フリ男と同じコスモス軍のお前が聞けチョコボコノヤロー」



「元はお前が言い出したことだろうが」



「な、何?どうしたの二人とも」



「あー…いや」



戸惑った様子のユリに、ラシアは聞きづらそうに、頭をかいた



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