Torn One Page〜DDFF〜

□Page10 記憶
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ユリとラシア…二人がまだカオス軍にいた頃ーーー約束をしていた

繰り返される輪廻によって忘れてしまった約束が



「あーあー、遅くなっちまったな」



「あぁ…帰ったら水浴びしないと」



本日の任務をこなし終えカオス神殿に向かう帰り道、ユリとラシアはへとへとになっていた。素材集めの任務だったが、ピンクの尻尾を50個も集めるという無茶苦茶なもので、気づいたらとっくに眠りにつく時間になってしまったのだ。



「ぜってー皇帝だろ、なんなんだよこの嫌がらせみたいな任務」



「昨日また自分の城が壊されたとかで機嫌が悪かったからな」



ラシア目を付けられてるからと付け加えると、うげーと嫌な顔をした。…まぁ、私たちは普段あまりコスモス軍と戦いに行ったりしないから目を付けられるのは仕方ないのだが。
やれやれと肩を竦めて苦笑いした、その時――



サァァァァァァ



「…?」



「ユリ?どうしたんだよ」



「水の音が聞こえる……」



目を閉じるとより鮮明に届いた。…まるで海のような静か音、懐かしい、何度も聞いた、私の好きな…



「水?あぁ、そういえばこの辺川があるからな」



「…川なのか?」



「こないだ散歩してたらあったんだ。確かもう少し行ったとこにあったはずだぜ。ちょっと寄るか?」



この懐かしい水の音の元に行けば、何か思いだせるかもしれない。もうへとへとではあるが興味はあった。



「そうだな、行ってみよ――
“死ね”



「!!?」



瞬間、背筋が凍りつくような悪寒が走り膝を付いた。…どうしてだろう、あんなに記憶を取り戻したいと思っていたのに…嫌だった。思い出したくなかった。



「ちょ、お前顔色悪ぃぞ。疲れたのか?」



「…そうかもな、やっぱり今日は城に戻ろう。」



ラシアの手をつかんで立ち上がり、城の方向へと歩き出す。…記憶を取り戻したい、これは本心だ。だけど…もし、記憶を取り戻したとき、私は……



「ラシア…」



私のままでいられるんだろうか



「ん?なんだ」



ユリに声をかけられ、先を歩いていたラシアは振り返る。



「…もし、もしもの話なんだが…」



「おう、なんだ?」



「私が…私じゃなくなって、大切な誰かを傷付けようとしたとき――



――その時は、あんたが私を殺してくれないか」



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