Torn One Page〜DDFF〜

□Page10 記憶
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ラシアと離れてから数十分、ユリはセフィロスと星の体内に訪れていた。…自分の記憶に関係あるのかもしれないが、ここの光は好きじゃない。ここを流れる緑色の光は落ち着かないのだ。



「さぁ、始めよう」



最下層の足場の中心でセフィロスがユリへ振り返り言った。



「始めるって……」



「お前の記憶の一部をよみがえらせる」



そう言ってセフィロスは懐から緑色に輝く疑似キリノを取り出した。



「この石にはお前についての、私の元の世界の記憶の一部を定着させている。」



「私の?…ということは、セフィロスは私を知っているんだね。」



セフィロスから石を受け取り一歩下がる。…これで、やっと記憶を取り戻せる。やっと、彼を思い出すことができるんだ。



「どうすればいいの?」



「使い方は簡単だ。召喚獣を呼び出すときのように石に念じればいい」



「うん、わかった。」



ユリは一度深呼吸して、目を閉じて石へと意識を集中する。セフィロスは口元を歪ませて笑っていた。














ユリが向かったという星の体内への道中、レイヴェルは頭が痛かった。



「えー!!なにその変な名前。そんなのよりナナちゃんの“ビューティーな彼女をキュートに救出☆作戦♪”の方がいいし‼」



「そっちのが変な名前だろうが!!お前そんな作戦敵の前で言ってみろ。同情されるぞ。もっとこう…」



「わかってねぇなぁお前ら、それじゃロマンに欠けるっつってんだろ。なぁレイヴェル」



あなたたちに欠けているのは緊張感です。少し黙ってもらえますか」



ユリ救出に向けての作戦名について、言い合っている仲間たちに冷ややかな視線を送り付ける。と、そこへナナミの背後に迫るイミテーションをギンが大剣でぶっ飛ばした。



「うひゃあ‼ありがと〜♪ギン」



「おう‼あんな雑魚なら楽勝だぜ♪」



「なんか弱いやつばっかだよなー、敵の拠点だしもっとすげー強いやついると思ったけど」



「…確かにそうですね。」



ラシアの言う通り、ここまで来るのにほとんどイミテーションと遭遇しておらず、戦闘になっても低レベルな敵ばかり。



「まぁいいじゃん、ラッキーだって思えばさ。ナナちゃんの日頃の行いがいいおかげ♪」



ナナミは能天気に笑うが、レイヴェルは口を引き結んだ。…なぜだろうか、嫌な予感がするのだ。



「さぁて、そろそろゴール…ん?おい、あれって…」



先頭を進んでいたギンが崖を一つ降りて、星の体内の中心部を目を凝らして見る。…そう、ユリが仰向けに倒れていたのだ。



「ユリ‼」



その姿に一番に反応したのはナナミだった。真っ先に岩場を降りてユリの元へと駆け寄った。他の者もナナミに続いて駆け下りていく。



「ユリ…よかった、無事みたい」



見たところ目立った外傷はほぼなく、ただ眠っているだけのようでナナミは安心する。そんな様子に後ろにいたラシアやギンもほっと息を吐いた、その時…ユリが目をパチッと開けた。



「ナナ‼」



「!!?」



刹那、殺気にいち早く気づいたレイヴェルが、ナナミを抱えて飛び、ユリから離れた。ユリが突然風を起こし、一番近くにいたナナミを切り裂こうとしていたからだ。



「おい、ユリ…「うわァァァーーー‼!」



ゆっくりと立ち上がり、頭を抱えて苦しそうに叫ぶ。それからゆっくりとこちらを見つめ……ダガーナイフを取り出し向かってきた。



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