Torn One Page〜DDFF〜
□Page11 忘れない
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《レイヴェルレイヴェル、これコスモスレポートだって。さっき預けられたんだ〜》
《預けられたって…ウォルにですか?》
《そうそう、最後のレポートだってさ。ナナちゃんちゃんとしっかり預かってました‼褒めて褒めて♪》
《わかりました、僕が預かりましょう》
《むぅ〜》
「…さてと」
ユリ救出の戦いの翌日、レイヴェルはナナミから預かったレポートを持ってローテーブルの前に座った。テント内を適当にうろついていたギンはあくびをしながらそれを覗く。
「なんだそれ、オムライスのレシピか?」
「違います。コスモスレポートです」
「なに‼?コスモスが残したオムライスのレシピ!?」
「話聞いてないんですか。というかギン、何故ここにいるのですか。ユリを看ていて下さい」
ギンにはユリの看病を任せたのに何故ここで油を売っているのか…レイヴェルはげんなりしたような視線でギンを見上げるが、ギンはお構いなしにカラッと笑った。
「ユリなら大丈夫だ。まだ本調子じゃねぇみたいだけど、もう普通に動けるしな。今眠っちまった。」
これなんだ?と上からレポートを摘まみあげ、ギンは中身を音読し始めた。
「えー、”召喚するもの、キリノ”…
――その力の正体はこの世界に存在するすべての召喚獣の同時召喚を可能とし、他の世界の記憶を持つ”異世界の記憶を持つもの”としての力。キリノがこの世界に出現したとき、私は思ったのです。
この巨大な力は人、あるいは世界を変えてしまうと。
そして想像通りカオスとその軍勢の者たちがキリノを狙い始めました。だから隠すしかなかったのです。私以外、仲間たちにも知られぬように。
キリノによって召喚された彼らに壊させないように。
…私はキリノを護りたかったのです。世界を壊してしまう力は、逆に世界に希望をもたらす力にもなりえるから…
「――うーん、つまりどういうことだ?」
「コスモスがキリノを隠した理由ですね。巨大すぎる力を持て余してしまわないように隠していたのでしょう」
誰であれ、自身の身に余る力を持ってしまえば、どんな行動に出るかわからない。たとえ、それが僕たちだろうとコスモス軍であろうと…
コスモスはそれを恐れたのかもしれない。
「なるほどなー。にしても…すべての召喚獣ねぇ、お前らが石ころで呼び出しているあれだろ?あんなのが何十体も同時に召喚でもされたら、とんでもねぇな」
「…確かに。本当にそんなことが起これば、世界は壊れるかもしれませんね。」
本当にそのような力があるのだろうか。じゃあキリノによって召喚されている僕たちは?召喚獣と同じなのか?
思考を一巡りしてみると、案外簡単に結論に至った。
「記憶の召喚…そうか」
「ん、なんだ?」
「…今までのレポートから、僕たちは記憶の召喚によってここに存在し戦っていることがわかっています。キリノには召喚獣だけではなく、コスモスたちのように記憶の召喚も可能なのでしょう」
「ふーん…なるほど。
まぁつまりキリノはすげぇ召喚石ってことだな‼」
「あなた絶対わかってないでしょう。…このレポート、まだ続きがありますね」
「…他にも何か書かれているの?」
いつの間にいたのか、ユリがギンとレイヴェルの間からレポートを覗く
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