藍唄2
□43†辿り着く彼らの危険思考
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嫌なことや悪いことは立て続けに起こるとはよく言ったものだと、目の前に広がる光景を見てアリアは思った。
「どいてどいて!」
「 ! 風紀副委員長の草壁さんだ…!」
「病院出てすぐに襲われたって…っ」
ストレッチャーに乗って運ばれてゆくのは、つい数分前まで言葉を交わしていた人物で。
見るも無惨な… とまでは行かないが普通のケンカでは負わないような怪我をしていた。
雲雀ほどではないにしても、草壁はそれなりに強い。風紀副委員長のポストに着けるぐらいには。
それをこうまで、完膚なきまでに叩きのめせる相手。
一体どんな奴なのか、薄く想像しながら草壁を追うように走り出すリボーンに倣ってアリアも駆ける。
「あ、君たち…っ」
『何本?』
「5本だな」
『6の次は5、ね…。引き止めてごめんなさい、ありがとう』
手際良くストレッチャーに横たわる草壁の口の中を素早く覗く。
知りたいのは抜かれた歯の本数。たったそれだけを確認するとサッとリボーンを抱き上げた。
そして上辺だけの謝罪と感謝を述べるとウィンクを医師に投げつけ、足早に去る
そうする事で相手が自分に見取れることを分かった上で行動するのだから、性悪と言われても仕方ない。
「ちょ、何してんだよ2人とも!」
『歯の数を調べてました』
「普通に答えるな!」
『何してんのって言うから答えたのに…。ヒドい、横暴だわっ』
「急に被害者ヅラ!?」
ぎゃーぎゃーわぁわぁと、主にツナが騒ぐ。院内だと言うのに、と常識が無いみたいに見られそうだったが、幸いと言うべきか否か。そんな騒ぎが気にならないぐらい周りの人々は気を落ち込ませていた。
当たり前だ、恐怖の対象ではあるがいざという時には頼りになる風紀委員が目の前で倒れているのだ。滅入るのも無理はない。
ツナに渡していたレオンを手に受け取る。尻尾が千切れたせいで体のバランスが崩れ、次々とその形状を変えていく。
恐らく正しいであろう推測を脳裏に浮かべ、抱くレオンを見る。不吉の前兆を、感じ取っていた。
靴ひもが切れる然り、黒猫が目の前を横切る然り。
レオンの尾が千切れるというのはそれと同じなのだ。
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