藍唄2
□44†追っ手手折って
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ガシャン、と大きな音を立てて緑色の受話器が戻される。
その音はツナの焦りを表しているようで。
目に見えて顔を青くしていた。
『ツナ!』
「 ! アリアッ」
『隼人に掛けたのね。どうだった?』
「ダメだった…。電波の無いところか電源が入ってないってアナウンスが流れて…」
『あのバカ…。こういう時に繋がらないで何の為のケータイよ』
ギリ、と唇を噛み締め今はここにいないそして絶賛捜索中の獄寺のことを思い浮かべる。
そんなアリアを苦笑いで見るツナであったが胸中は彼女に同意していた。ケータイが繋がらず、連絡手段が無いとなれば一体どうやって獄寺を捜せばいいのか。無闇矢鱈と並盛町内を捜し回って変な連中に出くわしてしまったら…。
奴らは無差別に並中の生徒を襲っている訳ではないと判明はしたが、信じがたい暴行を振るうような連中だ。
何があっても不思議じゃない。
どうしようか、とアリアに相談という名の指示を仰ごうとしたまさにその時
「あ、あの制服並中だ」
「うわホントだ」
「あっち行こ、関わったらヤバいよ。さっきも商店街で並中生と黒曜生がケンカしてたし」
「最近の中学生はどうなってんだか…。親の顔が見てみたいよ」
女子高生が2人そんな事を話してUターンして去っていく。
敬遠されるという状況に驚きはしたが、それよりも重大な話を聞けた。
慌ててアリアへと振り返れば、彼女も聞いていたのか神妙な面持ちで頷く。
「アリア、今の…!」
『えぇ、分かってるわ。あの女子高生たち、躾てやりましょう』
「はぁあ!?何言っちゃってんのどうしたの!!」
『だって、ツナは腹立たないの!?並中生ってだけで煙たがれた挙げ句に親の顔が見たいwwwとまで言われたのよ!』
「wwは付いてなかったぞ!誇張すんなよっ!」
それより今は獄寺くんだろ!とキーキー怒るアリアをぐいぐいと引っ張って先ほど女子高生たちが言っていた商店街へと向かう。
小さくアリアが『顔は覚えたからな』と呟いたのにはゾッとしたが。
いちいち構ってられないので敢えて触れずに、心の中で名も知らぬ女子高生たちに合掌した。
*****
これ以上ない目印だな、とアリアは思う。反対に暗殺には不向きだとも。
轟く爆音、揺れるアスファルト。この並盛で爆発物を所持していて尚且つ人目をはばからず使用する人間なんてたった1人だ。
『二次災害起きてなきゃいいけど…』
「(ありそう…)」
目的の人物・獄寺隼人の居るであろう商店街はもう目と鼻の先。もうもうと煙の立ち上る其処にいるだろうと見込みをつけ走る。
火薬やプラスチックの焼ける匂いとは別に血の匂いも混じっている。どちらのモノだろうか。
そうそう簡単にやられはしないだろうけれど、相手の力量が分からない今最悪の事態も想定しなくてはいけない。
出そうになる舌打ちをぐっと堪えた。
「 ! 獄寺くんっ!」
「え、10代目!?アリアさんまで!」
『どうにか無事みたいね』
角を曲がり大通りへと出れば静まりつつある煙の中、地べたに座り込んで煙草を吸っている獄寺がいた。所々焼け焦げたり擦り傷を負っていたりはするが目立った外傷は見受けられない。
流石ランキング上位に入るだけはあるということか。
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