藍唄2

□45†浸入デート
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装備を整える。

弾倉に弾を込め銃に装填し、剣を一振りして袖に仕込んだ。銃も同じように袖に仕込むと準備は出来たと言わんばかりに髪をなびかせ玄関に向かう。


滑らかな黒髪、全身を覆う黒服。それはさながら影が歩いているようで。
ただでさえその名がその存在が恐怖の象徴となり得ているから、それは増幅させる道具にしかならない。

しかしアリアなら喜んで使うだろう。


『あら、』


背筋をぴしりと伸ばしながら歩きいざ玄関へと着けば、そこにある姿見に映る自分を見て声を漏らした。
体を鏡へと向け、少し曲がったネクタイを直す。

前までは鏡を見なくともキチンと真っ直ぐに結ぶことが出来た。毎日のように結んでいたものが年に数回結ぶか結ばないかになったのだから当然と言えば当然。環境の変化というものを習慣で感じ取り、つい苦笑いを溢す。


けれど今日は些細なミスなど許されない。


相手取るのは元マフィアで脱獄囚。
この並盛にいるであろうボンゴレ関係者を見つけ出す為に一般人にすら手を出すクレイジーな奴ら。

戦闘について心配している部分は何一つ無いが、問題は未だ一般人と言って差し支えない10代目候補のツナだった。


13年。生ぬるい平穏な世界で生きてきたツナ。こういう物騒なことはTVのニュースでしか見たことが無く、見聞きしてもせいぜいが不良同士のケンカ。
アリアからしたら大変可愛らしいものだ。

そんな世界で生きてきた彼が、争いの渦中にいる。原因だ。関わらないでいられるほうが難しい。


ツナにとっての初めての抗争。日本式に言うなら初陣。相手が相手だ。トラウマになってしまうかもしれない。
でもそれを乗り越えてもらわなければならない。

いずれマフィア界でも名高いボンゴレのボスになってもらうには、これぐらい。穢れきった大人の裏社会の都合にこんな未成熟な少年を巻き込んで申し訳ないとは思う。
けれど、


『(そんな慌てふためくツナが、面白いって言ったら怒るわよねぇ)』


くすりと笑い、曲がったネクタイを真っ直ぐに。

気合いは十分。準備も兵力も申し分ない。


さて、我らがボスの初陣と行きますか。






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