藍唄2
□40†君がいなくちゃ始まらない!
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降り注ぐ陽射しが肌に痛い。
どこの国でも夏というものはこんな感じだけれど、この国は特に嫌なものかもしれない。
暑さもそうだが、この肌にまとわりつく湿気も。
『(イタリアのほうがマシね。向こうは空気が乾燥してるもの。けど日本ときたら!)』
首筋に纏わりつく、自身の髪が鬱陶しくて仕方ない。
いっそサッパリ切ってしまいたくもなるがせっかくここまで伸ばしたのだ。
一時の感情に流されるのは大変勿体ない。
ぷりぷりとどうにもならない怒りを撒き散らしながら、随分と歩き慣れてしまった建物の廊下を進む。
今、アリアがいるのは日本の並盛中。新学期を後2週間後に控えたところで戻ってきたのだ。
いや、イタリアが本国のアリアからすれば出掛けたというのが正解なのだろうか。
『(恭弥いるかしら…。驚かせる為に何の連絡もしないで来ちゃったけど)』
どうせ雲雀のことだ、自宅にいるよりも並中ないるだろうと考えこちらに。
十中八九いることは間違いないだろうが、タイミングが悪ければ町内の見回りに行っているかもしれない。
まぁその時はその時。呼び出すか、帰ってくるまで待って驚かしてやろうと企む。
アリアはどうしても他人を驚かせないと気が済まないようだ。
『(あぁそれにしても面倒な奴らだったわ…。まさか2人してしがみ付いてくるなんて)』
再びイタリアから日本へ赴く際、行かないでくれとディーノとスクアーロがせがんできたのはつい数時間前のこと。
ディーノだけならまだしもスクアーロまでとは…。あの時はさすがのアリアも呆気に取られてしまった。
最初のうちこそ余程愛されているなと思え、頬を緩ませていたがだんだんとイラついてきて。
最終的には股間スレスレのところに弾を撃ち込むことによって引き離すことに成功したけれど。
あの瞬間あの2人の顔を思い出す度、アリアはとても愉快な気持ちになった。
『(9代目にはいっぱいお小遣い貰えたし、スクアーロとディーノの面白いところたくさん見れたし…。充実した帰省だったわね)』
先ほどまでの小さなイラつきはどこへやら。
ふんふんと鼻歌を交えて廊下を歩くアリア。私服の女子が学校内にいるというのは何とも新鮮である。
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