藍唄2
□43†辿り着く彼らの危険思考
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日本に、ツナの家庭教師となってから初めてのマフィア絡みの問題。
考え込むように俯かせていた顔を上げれば、表情を読んだのかアリアが口を閉ざす。それに釣られてツナも。
一拍置いてからリボーンは口を開いた。
「…この一連の事件の犯人がケンカ売ってんのは、ツナ。お前だ」
「はぁ!?」
その言葉に険しい表情を浮かべたのは誰だったか。
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何かを殴るような音と、鉄に似た匂いが鼻をつく。
崩れ落ちたコンクリートの壁に、パイプが剥き出しになっている天井。一見して廃墟だということが見て取れるのなどうしてかその天井には満開の桜が咲き誇っていて。
廃墟に桜。
とても不釣り合いなハズなのに、どうしてか美しかった。
それにしても何故秋口に桜が咲いているのだろうか。
「おっと」
「っ!」
ぐらりと、倒れ込みそうになる誰かの髪を掴み誰かが無理矢理上へと顔を向かせた。
何の躊躇いも手加減もナシに乱暴に。その手だけでその誰かがどれほど残酷で冷徹なのかが理解出来る。
それを証拠づけるかのように髪を掴まれた男― 雲雀恭弥の顔はヒドい有り様だった。
殴り蹴られたのか顔の至る所から出血していて。
彼にしては珍しくズタボロだった。
普段の彼であれば、ここまで一方的にやられることはない。恐らく、いや絶対原因は
「何故、桜に弱いことを知っているのか? という顔をしていますね」
天井に生える桜。
それが雲雀を地に這わせる原因だ。春、花見の折、シャマルに掛けられたらサクラクラ病が未だその体を蝕んでいるらしく。
言うことを聞かない己の体に腹を立てたい気持ちでいっぱいだ。
どうして弱みを知っているのかなんて事はどうでもいい。それよりもこの男を咬み殺してやりたい。
この桜さえなければ…。
その考えを読み取ったのか、雲雀の髪から手を離し、痛めつけた張本人… この並盛中生襲撃事件の主犯格の少年が言う
「―おや? もしかして桜さえなければ、と思っていますか?」
「それは勘違いですよ。君レベルの男は何人も見てきたし葬ってきた。そう―…」
「地獄のような、場所でね」
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