花が咲く頃に

□僕の眠り姫
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ちょっと早めにHRが終わったもんで、寄り道もせずに真っ直ぐ帰ってきたら




『…………。』


「すー…すー…」





あれ、なんかデジャヴュ。



日常と化したお出迎えがなかったもんだから(あ、コウタロウは来たぜ!)不思議に思って、静かーにリビングへ入ってみればソファに横たわって寝息を立てる京子







僕の眠り姫








すよすよと心地良さそうに眠るその顔を、背もたれ側からのぞき込む


何か京子の寝姿とか見るのすっげ久しぶりな気がする…

つか、家に来たあの日以来か?




『(しかしまつ毛長げーなぁ)』




伏せられた瞼を縁取る長いまつ毛が影を作っている。マスカラでも付けてんのかってくらいに


男の中にもやたらまつ毛が濃くて長いヤツいるけど、そんなのとは比べもんになんねーくらい繊細で、キレイだ



もっとよく見てみたいと、少し体を屈めたとき


ギシッ




『…!』


「んぅ…」


『(やべべべべ!)』




手を置いていた背もたれが体重に耐えられなかったのか、小さくも派手に鳴った


そのせいで寝ていた京子は軽く身じろいで、滅多にシワの寄らない眉間にきゅっとシワが



音にも京子にも驚いたオレはバッとソファから身を離した

うぉー、やっべ京子起きたか!?



心臓がバクバクと、そりゃもう全力疾走した後みてぇに動いてて。
ちょ、こんなに速く動いたら止まんのも早くなっちまうよ!









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