腐敗した君に亡骸
□鷹の追撃
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「殺人事件?」
「はい」
日常生活ではおよそ耳にし難い言葉を聞いて、自然と身体を反応させた。訝しげに眉間に皺が寄る
取りかかっていた書類から一旦体を離し、その物騒な報告をしてきた学ランにリーゼントの男・草壁を睨んだ
「どういう事。この並盛で殺人事件なんて」
「はっ。本日未明、並盛の外れにて男の遺体が発見されました。その有り様は凄惨なもので一目で他殺だと認識され、すでに今は捜査本部が並盛署にて発足。そこから得た情報なのですが…」
命じたワケでもないのにつらつらとそう述べてくる草壁の言葉に、ピリピリとしながらも耳を傾けていると途中で言葉が濁された
何だと思い草壁を見れば、手に持った報告書らしきものを見て言いづらそうにしている
「 何 」
「は、あ いえ… 殺しの手口から1人の男が捜査線上に浮かんだのですが…」
「手口?どんな」
「それは… 女性でいらっしゃる委員長には少々酷かと…」
「…草壁。君はいったい何度言えば理解するんだい? 僕にそういう配慮は無用だ。次、そんな事言ったら咬み殺す」
「し、失礼いたしました!」
チャキ、と着ているセーラー服の袖から銀色のトンファーを手に滑らせ、軽く構える
それの威力と彼女― 雲雀恭弥の強さを身を持って経験している草壁はぶるりと背筋を凍らせた
過去の記憶が蘇ったのか、冷や汗を垂らし手にしていた報告書をグシャリと握り潰してしまう
余程酷い咬み殺されかたをしたのだろうと、容易に想像出来た
「そ、それでは失礼いたします…。今回の事件の手口は、被害者の臓器を全て身体から出し、晒すように地面に置かれていました。そのことから…」
「全て?」
「は。…心臓に始まり、肺、内臓、腎臓、肝臓、胃、腸と胴体に入っている全ての臓器を取り出し、入っていた順に地面の上に並べられ晒されていたようです。被害者は、そこから少し上のビルの外壁に掲げられていたらしく…。これらのことから、世界的にも有名な殺人鬼の犯行ではないかと」
淡々と聞いていた雲雀よりも、報告した草壁のほうが気分を悪くしたらしく、若干顔を青ざめさせ うっと口元に手をあてた
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