花は曇ることなく

□ありがとう
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とくとくとくと伝わってくる心音が愛おしい


お互いの体温を求めるようにぎゅっと抱きしめあいながら、眠りにつけば不思議なくらいすんなり夢に落ちて



だから、なのかよく分からないけれど随分と変な、夢を見た



そこは何にもない真っ白な世界で。

自分が立っているのか、浮いているのかすらも分からない
もちろん縦も横も


どうせ見るなら楽しい、そうだ京子の夢とかが良かったな


こんな何にもない世界じゃ面白味もクソもねぇし…。

いっそ目覚めて、新たに夢でも見始めようか?


たがしかし、いくら夢の中で暴れても起きれるとは限んねぇし…

それ考えたら、人間の目覚めってちょっと神秘的な気がする


急にフッと目覚めるときとか、脳がどういった動きをして覚醒に至んだろか




て、あー違う違う んなコトは今はどうでもよくってだな!

よーし、起きるぞ起きろーっ




「起きたら向こうの世界だぞ」


『!!』




ぐるんぐるんと腕を大きく振り回して、起きようとしてみると何も誰も、いなかったハズなのにどこかから声が聞こえて

聞こえるだけならまだいい



今かなり重要なこと言わなかったかオイ!?



ちょっと恥ずかしいくらいに肩を跳ねさせて、キョロキョロと周りを見回してみるがやっぱり何もない


え、夢の中でもホラー体験とか勘弁…!




『ぎにゃーっ!おぉお起きろオレェエェ!あ、いや、起きちゃ… うわー!どうしたらいいんだーっ!!』


「あー オイオイ落ち着けって。大丈夫、多分危害は加えないから。それに起きたらアウトだぞお前ー」


『多分って何!? てゆーか、ホントどこから声…っ』


「見えないモノに恐怖を抱くってのは人間の特性だな。じゃあせめて視認出来るようにすっから」








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