水星の人魚
□彗星の鱗
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一瞬ではよく分からなかったので、もう一度跳ねないかとジッと海を見つめた。
にわかに苛立ちを感じながら、珍しく根気強く海を睨んでいれば ざぱん! 再び大きな魚が尾を打つ。
その姿に驚きを隠さず声を上げた
「デッカぁ!な、この辺にンなデケー魚いたか!?」
大きな魚は大きすぎる魚であった。
そんな魚がいないことは無い、だろうがそんなものが生息するのは沖合であって、そしてあんな不可思議な色の魚などこの海域周辺にはいないハズ。
煌々と輝く、真珠パウダーをまぶしたかのような輝きに陽に当たると七色に見える鱗の魚なんて…。
自分の瞳に映る光景にハッとして、手に持っていたものを見る
「(もしかして… この鱗の主か!?そんな… マジで人魚…っ)」
興奮を抑えられず、思わず走り出す。見つけられたらいいな、とは思っていたがかなり望みは薄かった為一気に期待が膨らんでいく。
その脳裏には人魚を発見・捕獲したとして表彰され新聞やテレビに映る自分。そして褒めてくれる敬愛すべきボス・沢田綱吉。
年相応の少年らしく表情をキラキラとさせながら岩窟の外へ。
岩場の外にある海へと視線を戻せば透けた海の中を泳ぐ何か。
海面が揺らいでいるせいでその何かもぐにゃぐにゃと揺らいで見え、ハッキリと見えない。
舌打ちを一つすると躊躇なく海へ飛び込んだ。獄寺の情熱は消えることを知らないらしい
ざっぱぁんっ!
大きな波飛沫が宙へ舞い上がる。
飛び込んだ海はシーズンオフとなってしまったけれど、心臓を停止させてしまうような寒さはなく。
本日の天候具合を大いに喜んだ。これが雨だったら絶対に入らない
「(どこだ… どこにいやがる…っ!)」
ごぼごぼと自分が起てた気泡が視界を遮る。それはまるで生き物のようにふよふよと蠢きながら海面へ上がっていって
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