水星の人魚

□淡水パールさながら
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会いたかった、なんてため息混じりに思うなんて彼もなかなかおセンチな年頃だ。




「(もう少し待ってみるか…。17時、まで待ってダメだったら)」




今日はもう帰るか、と思いながらそろりと顔を上げる。


人の顔が目の前にあった




「ぶぁっ!」




妙な奇声を上げて後ろに転がる。バクバクバクと一瞬にして速まった心臓に手を当てながら体を起こせば、海から岩場へと上がろうとしている人魚の姿。


驚く獄寺を見て首を傾げていた




「おま…!人を驚かせる事しか知らねーのかっ!」




カッと怒鳴れば人魚はビクッと体を強ばらせ。リアクションにハッと我に返りすぐさま謝った

これでもし逃げてしまったら昨日の繰り返しではないか。それでは今日の意味がない。


せっかくこうして来てくれたんだ、しっかりと自分の気持ちを伝えないと




「わ、わりぃまた怒鳴っちまって…。今日はンなことしに来たんじゃねぇんだけどよ… えっと、その、なんだ」


『 ? 』


「き… 昨日は助けてくれてあり、がとな…。なのにオレ、怒って怖がらせて…」




普段、他人に対して感謝の意を表すなどしたことがないから言葉に詰まってしまう。

それでもどうにか“ありがとう”と口にするが彼女には伝わっていない様子。


長いまつ毛の縁取る瞳をパチパチと瞬かせていた。やはり人の言葉は通じないようだ




「と、とりあえず礼として色々持ってきたんだ。見てみろよ、コレ」




やや焦りながらも手にしたのは持ってきた中身の詰まったビニール袋。彼女の前にその中身を差し出した。









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