水星の人魚

□淡水パールさながら
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べちゃり、海水で濡れた岩場に果物の食べかすが落ちる。
落とした張本人は新しい果物を夢中で頬張っていて


黙々と果物を食べる姿を見て獄寺は思う




「(人魚の好物って果物だったのか…)」




美味しそうに食べるのだ、まず間違いないだろう。
しかもご丁寧に、他に持ってきていたショートケーキのイチゴのみ食べていた。

何を食べるのか分からないので、お菓子や果物や野菜と色々持ってきたが…。


どうにかその中に食べれる物があってよかった




「美味いか?」


『(もぐもぐもぐ)』


「…まぁそんだけ食うんだから美味いんだよな」




言葉が通じないどころか喋れ… ないのかは分からないが会ってから一度も声を聞いていない。


おとぎ話などでは歌を歌い、船乗りを惑わせたそうだが。

それはあくまでおとぎ話、実際目の前にいる彼女は到底そんな事しようにも見えない


ジロジロと眺め、様子を見ていれば不意にこっちを向いて

目が合えば蕩けるような笑顔を送られた




「…っ!」


『(もぐもぐもぐ)』




しかしそれも一瞬。
すぐにまた手の中の果物にかじりつく


とっとっとっ と速くなる心臓を抑えて思う。
前言撤回、おとぎ話は真実だ。









淡水パールさながら





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