水星の人魚
□海へ恥じらう
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ぶら下がる黒いそれに目が釘付けになった
「わざわざネットで買ったんだぜ。着けてみろよ」
そう言って渡されたのは真っ黒なビキニ。谷間の部分を白いレースが縁取る大人っぽくも可愛らしいモノだった。
何故、獄寺がこんなものを持ってきたのかというと理由は簡単。人魚の胸が丸出しだったからだ。
紺青色の、長くウェーブがかかった髪の毛のおかげで胸の先端部分は見えないが、それでも青少年の目には毒。
人ではないし、見たところで相手も何とも思わないのだけれど…。やはり、と
差し出されたソレを手に取るが、一体何なのか分からない。ので、とりあえず掴んで引っ張ったりぐるんぐるんと振り回してみる。
それでも何なのか分からなかった。
「バカ!そりゃそーやって使うもんじゃねぇよっ。これは、その、む… 胸にだな…」
『…?』
喋ったかと思えばだんだんと頬を染めて、人魚の胸を見下ろす。
ふっくらと盛り上がったそこは、やはり青少年には毒でしかなく。
獄寺の視線に釣られて自分の胸を見下ろすがさして何かがあるようには見えず。
かかっている髪の毛を退かしてみると、
「ぶっ!な、おま…っ!何してんだバカッ!か、隠せ…っ」
先ほどよりも顔を真っ赤にして怒鳴る獄寺にビク、と体が竦む。
彼女の反応にハッとし慌てて違うと言葉を付け足す。これは怒ってるんじゃなく、と言ってもどうにも視界にチラつくモノが気になって仕方ない。
「(自分では、無理だよなやっぱ…。たがしかしコレをオレが着けんのも…!)」
けれどそうしなければこの人魚はずっと胸をさらけ出したまま。
相手は人魚なのだ、人間の女の子相手にするのとはワケが違うと無理矢理自身を納得させる。
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