09/27の日記
00:05
ssもり
---------------
手を握ると握り返してくれた。簡単な事なんだ、オレが喜ぶことなんて。
空が高くて風が冷たくなってきたから、そばにいたくて君を誘った。
公園のベンチでカラカラと舞う枯葉を眺めて、丘の上で吸い込まれそうな青い空を眺めた。ウィルは黙ってそばにいてくれた。
「手、繋いでくれるか」
指の間を抜ける風の冷たさが秋のそれで、わけもなく切なくなる。
ウィルはゆっくりと手を出してオレの手を握った。とたんに温かくなる手にドキッとして顔を上げた。
何を考えているのかな。
でもそれを聞いても本心は返ってくるのかな。
だから、このままでいい。
握り返してくれるだけでいい。
それだけでオレには十分なんだ。
ただただ、消えてしまわないように、強く手を握って。君を、そばに感じて。いなくならないように、強く、手を。繋ぎつづけいていたいんだ。
びゅうっと風が吹き抜けた。
君は、もういない。
おわり
●●
前へ|次へ
□ 日記を書き直す
□ この日記を削除
[戻る]