09/27の日記

00:05
ssもり
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手を握ると握り返してくれた。簡単な事なんだ、オレが喜ぶことなんて。


空が高くて風が冷たくなってきたから、そばにいたくて君を誘った。
公園のベンチでカラカラと舞う枯葉を眺めて、丘の上で吸い込まれそうな青い空を眺めた。ウィルは黙ってそばにいてくれた。

「手、繋いでくれるか」

指の間を抜ける風の冷たさが秋のそれで、わけもなく切なくなる。
ウィルはゆっくりと手を出してオレの手を握った。とたんに温かくなる手にドキッとして顔を上げた。

何を考えているのかな。
でもそれを聞いても本心は返ってくるのかな。   

だから、このままでいい。
握り返してくれるだけでいい。
それだけでオレには十分なんだ。
ただただ、消えてしまわないように、強く手を握って。君を、そばに感じて。いなくならないように、強く、手を。繋ぎつづけいていたいんだ。




びゅうっと風が吹き抜けた。
君は、もういない。




おわり
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