【鳩血色の星屑】
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月明かり、私を照らす。
「ひ、ひいいいいいいぃぃいいいいっ!」
逃げる初老の男と、それを追い駆ける頭のてっぺんから靴の先まで真っ赤な者。
「た・・・、助けてくれぇ!!」
響き渡る声と、足元の雪が鳴らす小さな音。
しゅっ。
どしゅっ。
「ぅがっ!!」
頚動脈に深々と突き刺さるナイフ。
舞い散る鮮血、小さな真紅の花を点々と雪の上に咲かす。
倒れる男、朱に染まる雪。
そして凛と立つ、赤頭巾のような少女。
月明かりは、好き。
こんな汚くて醜い私にも、同じように光を照らしてくれるから。
その光が優しいモノじゃなかったとしても。
それでも、照らしてくれているのには変わりないから―――――。
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