【虚飾のラプンツェル】
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「哀れなアクマに、魂の救済を」
ドンっ
夜闇に響く、爆発の音。
その中でぼう、と浮かび上がる白髪。
「アレンくーん!怪我は無い?」
「大丈夫ですよ、リナリー。全部壊しました」
夜の街。
そんな中に、まだ10代であろう少年少女の姿。
白髪の少年はアレン・ウォーカー。
ツインテールの少女がリナリー・リー。
2人は【黒の教団】の【エクソシスト】。
彼らの仕事は【AKUMA】と呼ばれる悪性兵器の破壊で、今回も任務が入ったのでこんな夜更けでも仕事をまっとうしていた。
が。
「ねぇ、アレン君?なんか変じゃない?」
「やっぱりリナリーもそう思いますか?」
2人共、『ナニカ』を感じていた。
資料によると、2日前にここら一帯で死人が出たらしい。
しかもすでに4人の犠牲者が出たとのこと。
AKUMAの可能性があると、本部から任務を言い渡されてやって来たのだが。
予想より、遥かに違った。
てっきり、Lv2がいると思っていたが、全てLv1だけ。
しかも、たった3体。
どうもおかしい、とアレンとリナリーは睨んだわけだ。
「まだLv2がいるのかしら?」
「でも僕の左目は反応しませんね」
と、きょろきょろ周囲を見回すアレン。
すると、ナニカが視界に入った。
人。
まごうことなき、人の姿。
中年の男性が、ぽつんと一人、闇に佇んでいた。
その表情は少し俯き加減なので見えない。
「どうかしましたか?」
こんな所に一般人。
左目が反応しないってことは、アクマではない。
そう確認したアレンは、何の警戒も無しにその男へ近づいて・・・。
ぐさっ
「アレン君っ!!」
「くっ・・・」
悲鳴が入り混じったリナリーの小さな叫びと、痛みを押し殺したアレンの声。
アレンの右腕には、一本の肉切り包丁が刺されていた。
すぐさまアレンは間合いを取り、今まさにアレンにそれを刺した男を見据えた。
しかし、彼の左目はアクマの魂を映さない。
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