Paraller

□そこで笑っていて
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お前に涙は似合わない
あの時みたいに苦しい思いは絶対させない

だから、お前は俺のそばで・・・




≪そこで笑っていて≫




カーテンから太陽の日差しが差し込み起きて間もない目を細めた
目覚まし時計が忙しなく鳴り響いている
下からは台所から良いにおいがする

ゆっくりと階段を下りると台所には人影があった


「早くしねぇと遅れるぞ」

「・・・おはようございます、兄さん」


兄・・・ユウはため息をつきながら、まだ寝ぼけている弟・・・アレンに顔を洗って来いとタオルを投げた

この家庭はユウとアレンの二人家族
両親の姿はどこにもない

昔、交通事故で両親はすでに亡くなっていた
3つ離れた兄を持ち、それほど生活に困ったことはない
貯金も十分にある

両親がいなくても兄弟は幸せに暮らしていた


「兄さん、今日生徒会の仕事があるんでしょ?僕はいいですから先に行ってください」


そう言われユウは不機嫌そうな顔をしながら学校に向かった
アレンはしっかり用意された朝ごはんを食べて自分の学校に向かった


家から学校までは左程距離はないが徒歩では何十分もかかる
いつもは兄の自転車の後ろにアレンが乗り、学校に向かうのだが
今日のようなユウが先に行く日はアレンは徒歩で向かう

まだ眠気が覚めていずに何度もあくびをしてしまう
涙目になりながら歩いていると後ろから誰かに肩を叩かれた
振り向くとそこには黒髪のツインテールの少女が立っていた


「おはよう!アレン君」

「おはようございます、リナリー先輩」


アレンが(さわやかに)ほほ笑むとリナリーは額を抑えてふらついた
そんな彼女をアレンはあわてて支えた
すると、リナリーはいきなりアレンに抱きついてきた


「可愛すぎるわ!!アレン君!!!」

「えーー///」


アレンは必死でリナリーを引きはがすと、彼女は不満そうに口先をとがらせていた


「リナリー先輩、生徒会の仕事は///」

「私の足をなめないで!」


リナリーは陸上部でもあり、大会では数多く名を残してきた実力である
彼女の足だったら兄弟より遠い家からだろうと十数分でついてしまう


「・・・神田は?」

「あの〜僕も神田なんですけど」


名字が同じなのでどうもややこしい


「じゃあ、神田兄は?」


リナリーは訂正してきた・・・あまり訂正になっているかは不明だが


「兄さんは先に行きました、リナリー先輩みたいに足は速くないですからね」

「神田兄も剣道ばかりじゃなくてもう少し鍛えればいいのよ!」


そんなたわいもない話をしていたらいつの間にか学校についていた



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