広い空
□そして消えるアゲハ蝶
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食堂につくといつもだったら人でにぎわっているはずがだいぶ空いていた
ほとんどの者が食べ終わったのだろう、そんな時間を見計らってラビも誘いに来たのだとアレンは隣に立つラビを見上げる
二人は席を確保すれば調理長であるジェリーのいるカウンターに向かう
奥からはいつものようにテンションの高めのジェリーがお玉を持って現れた
そしていつものようにアレンはどこに入るか分からないぐらいの料理を注文している
そんなアレンをラビは頬杖をつきながら横目で見ていた
注文を(一部)終わらせたのかジェリーはルンルンと厨房の奥に行き仕事を開始していた
一方アレンに至っては満足そうな顔を浮かべている
「一体どこにそんなに入るんさ?」
「どこって・・・おなかの中ですけど?」
当たり前化のようにキョトンと答えるアレン
しかし15歳にしながら華奢な体のアレンの腹の中に何十もの品が入るとはどうしても考えられない
アレンの腹の中の構造を知りたいものだとラビは苦笑する
「それにしてもこうやってアレンと飯食うの久しぶりだな」
ラビがアレンの背中に覆いかぶさるように抱きついてきた、いつものことのようにアレンは少し顔を赤くして照れながら下を俯いている
「この頃、任務が続いてましたからね。・・・どうせ任務ならラビとが良いですよ」
「・・・?なんか言った?」
「・・・っ///なっなんでもないです///」
心の中で言ったことが声に出てしまったことに顔を紅潮させながら、ラビに聞こえなかったことにホッとして
それから、まともにラビの顔が見れなくてアレンはずっと下を俯いていた
そんなアレンの隣でラビはアレンにわからないように笑っている
――実は聞こえちゃったんだよね〜♪アレン可愛いVv
そう思いながらラビはまわしている腕に力を入れた
少ししてからワゴンいっぱいに運ばれてきた料理の数々
それが視界に入った瞬間アレンの目の輝きが増す
「さすが、ジェリーさんです!!おいしそ〜」
「ハイハイ、(一部が)来たところで席にいくさ」
運ばれてきた料理を感動しているアレンをラビは自分の分の料理を持ちながら引っ張って連れて行く
「どうして、ラビはそれだけで足りるんですか」
「あぁ〜、オレに聞く前に自分の素晴らしい腹に聞こうなぁ」
ラビの言葉の意味がわからず疑問符を浮かべているアレン
言っても駄目だと思いラビはため息交じりで笑っていた
でも、おいしそうに料理を頬張るアレンを見ているとそんなことどうだっていいかと思ってしまう
子供のように頬に食べかすがついていることに気づき長い指でそれを拭った
「ふえっ///」
「ガキみたいにつけてんなよ」
それをなめとってアレンの方をみて笑ってみせるとアレンはどんどん赤くなっていくプシュ〜っと音をたてるかのように崩れていった
犯則だ・・・と呟きながらテーブルに額をくっつけている
そんな姿にさえ、ラビにとっては愛おしく映った
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