広い空

□そして目覚めるアゲハ蝶
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目覚めれば、必ず隣には自分の大好きな子が眠っている

綺麗な瞳は隠れていても、愛しい寝顔を見ていて幸せになった

たまに、自分の方が遅く起きれば隣でこちらを見ながら微笑むあいつがいた

それがとても愛しくて

離したくなかった・・・












眼を覚ました時、目の前には見慣れた白い天井が広がっていて
鼻には薬品の匂いがつく

ラビの頭はまだ、少しボーっとしているのか。焦点がなかなか定まらない

隣からは医療班の声が聞こえてくる


「ラビっ!大丈夫だったかい?」


そう、ラビに駆け寄ってきたのはコムイだった


「コムイ・・・?・・・ここって・・・教団?」

「そうだよ。君は重症で運ばれてきたんだ。あと少し探索班の発見が遅かったら・・・危険な状態だった」


少しずつ覚醒していく頭に、一つ疑問を持った


「コムイ、アレンは?」


隣に寝ているのかと思って周りを見渡してもラビ一人だけの部屋
他は空いているベッドだけ

コムイに目をやっても彼は黙ったままだった


「なあ、コムイ!?」

「・・・アレン君は・・・」


やっと口を開いたがどことなく弱々しくて
ラビに不安がよぎる


「・・・アレン君は、行方不明なんだ」

「えっ・・・?」






『行方不明』





その言葉が何度も木霊した



――嘘だろ、アレンが行方不明なんて


「君は気を失ってから探索班にあの街全体を探してもらったんだけど・・・どこにもいなかった」

「・・・っ」


その言葉にラビは勢いよくベッドから体を起こした
しかし、重症と呼ばれていただけあって、体中が悲鳴を上げていた


「ラビッ、君はまだ全快じゃないんだ!安静にしていないと・・・」

「だけどっ、アレンが行方不明って言ってんのにほっとけないさ!!!」


その言葉にコムイは苦そうな顔をした
ラビはその表情の変化を決して見逃さない


「・・・どうしたんさ、コムイ」

「・・・ラビも気づいていると思うけど、アレン君の団服の裏についていた血液はアレン君の物と確定して・・・致死量を超えていたんだ」





――・・・どういう・・・ことだよ・・・






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