広い空
□色を変えた黒アゲハ
1ページ/3ページ
『どうして、貴方は仮面をかぶるの?』
オレがアイツと会ってまだ時間が経たないくろいの頃
その銀灰色の瞳をオレに向けて
アイツはそう言った
それからかもしれない
オレがあいつに惹かれ始めていたのは
≪色を変えた黒アゲハ≫
フードを外した少女の姿に二人は目を見開いた
血のように赤い瞳、白磁の肌、腰まであるのではないかというロングヘアー
黒いワンピースが良く似合う
誰もが見とれてしまうかもしれないその容姿
しかし、何よりも驚愕したのは
左頬に刻まれた赤い傷、見慣れた白い髪
「もやし・・・!?」
どこをどう見ても、その姿は美しい少女
でも、わかる。神田が唯一そのあだ名で呼ぶ存在を
―アレン・・・?
ずっと探していた、やっと見つけた
今すぐ抱きしめたいのに
体が動かなくて、声が出せない
だって、神田が呼んだあだ名には首を傾げているから
さっき、自分たちに『はじめまして』と言ったから
何故か、ノアの・・・敵の隣に悠然と立っているから
「・・・私は、アレン。それが私の名前。」
姿が違う、一人称も違う。
でも、自分の中でどこか懐かしいと思っている
まるで、そこにいるみたいだった
『ラビッ!!』
花のように笑うアイツがオレを呼ぶ声が頭の中で木霊する
瓜二つの目の前の少女はその木霊さえ、かき消してくるかのように自分たちを見下していた
・