Basara

□学園BASARAE
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076(家康と)










先に行ってしまった二人を追いかけてどんどん下っていくと、川幅が広がっていき、岩もどんどん石へと変化していった。つまりは河原になってきたという訳だ

二人はどこまで下って行ってしまったのかと思ったが、すぐに二人並んで突っ立っている姿が見えた



「何してんだ、二人共」



声をかけてみると二人は振り返り、そして直ぐ様同じ所を指差した





そこにはパラソルがあった





「ここってさ、河原だよな?」

「あぁ、その筈だが…」



ワシは河や石を見ながら答えた



「何で雨ふってねーのにかささしてんだ?ばかじゃねーのか?」



そう言う武蔵を呆れた様に蘭丸は見ていた「こいつ、呼び捨てでいーや…」とか聞こえてきた。二人は顔を合わせるのは一、二度目だった気がするが…もうそんなに仲良くなったのか!知らんかった!

いや、今はそれよりもあのパラソルだったな。注意深く目を凝らしてよく見ると、パラソルの下に人影が見えた



「あのパラソルの下に誰かおるな…。ちょいと見てくる」



そう言ってワシはパラソルについての談義をしている二人を残して近付いてみる事にした










近付いて解ったのは、そのパラソルの近くに釣りセットが置かれていた事だった。どうやらパラソルの持ち主は釣りをしに来たようだ



「本当に声かけんのかよ、康兄…」

「何言ってるんだ蘭丸、挨拶は基本中の基本だぞ。……こんにちは、今日は釣り日和だな〜。お前さんも……」



釣りを楽しみに来たのか、と続ける前に台詞が途切れてしまった





「おや、とくがわくんに…こうちょうせんせいのところのいそうろうのこ…ではないですか」



こちらに気付きにっこりと微笑むのは、国語教師の上杉先生だった。こんな所で上杉先生に会えるとは思っていなかったので、純粋に驚いた

一方、蘭丸は首を傾げていた。上杉先生が一方的に知っているというところだろう



「いやぁー、まさか上杉先生がいるとは思わなかった!川釣りか?」

「ええ、せっかくのなつやすみですからね。あなたがたもですか?」

「そんなもんだ…って、」



話中に、上杉先生の後ろにあるデカイ荷物に気付いた。釣りを楽しむだけならこんなに荷物は要らないだろうに



「あぁ、これはわたくしのいふくなどのにもつですよ」

「何で宿に置かないんだよ?」



蘭丸も不思議そうに聞くと、



「まだやどをきめていないからですよ」

「普通さ、決めてから旅行するだろ」

「あなや、じしんでみてからでないときめたくないのです。しかし、きにいったところはどこのやどもすでにうまっていて「当たり前だろ!!夏休みで海辺の近くなんだからさ!!」



蘭丸に鋭いツッコミを入れられた上杉先生。すると頭を抱えて悲しみだしてしまった



「何だか可哀想だな…」

「いや、自業自得だろ!?」

「…よし、上杉先生!良かったらワシの家に来ないか?」

「えぇ!?」

「あぁ、いいのですか?」



嬉しそうに、しかし上品さを忘れずに顔をあげる先生。その横で蘭丸が何故か胡散臭そうに上杉先生を見ていたのは不思議だった





いやはや元親の言う通り、今年は賑やかになりそうだな!















(家康と蘭丸と慶次と武蔵と謙信)

蘭丸はそいつが馬鹿だと解った瞬間に呼び捨てるんだと思ってます

10.09.11
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