Basara
□学園BASARAE
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073(信玄と)
「…おっ…お館様っ!?」
そう幸村でもなく佐助でもない者に呼ばれたので、眉を潜めながらも滝から出てみる。すると少しばかり懐かしい顔が驚いた顔をしながらそこにおった
「おぉ、長政か。久しいな」
「……お久しぶりです、武田師範」
しかしすぐに落ち着きを取り戻し…いや、取り繕ってから一礼する。わざわざ呼び方を変えて
相変わらずらしいのぅ…この小僧は……
「何故、武田師範がこちらに…?」
決して歓迎を含まない声でそう聞かれたので「儂が聞きたい」と返した。別にあのような言い方だったからという訳ではないし、答える気が無い訳ではない。ただこんな所で長政に逢った事が先に不思議でならなかっただけである
「…私達は、旅行です」
そう言われて初めてもう一人連れている事に気付いた。彼女はじっと此方を見ていて…長政に目配せをされてから彼女はゆっくりとお辞儀した。妖艶なる黒髪が美しく流れた
答えられたならばこちらも答える。それが武田の流儀よ
「儂等は修行をしに来たのだ。幸村の精神を鍛えるが為の「お館様ぁぁぁ!!この幸村を呼びましたでございま「儂の許可無く勝手に出るでない幸村ァァァ!!」
滝から飛び出してきた幸村を拳で滝へ戻す。寝転がっている幸村に「しっかり座禅を組むのだ幸村ァァァ!!」と叱咤すると「きっつー」と佐助が呟いておったのを儂は聞き逃しはせんかった
「…相変わらずなようで、武田師範…」
「誉めても何も出ぬぞ、長政」
そう返すと長政の顔が曇り、溜息をついた。小娘が何か呟いておったが小さすぎて聞き取れんかったわ。まぁよい、今は佐助の方だな
「佐助やはりお主も滝に「あれれ〜?知り合いですか?お館様」
「昔の教え子よ」
「そうなんですか〜♪あ、初めまして。俺は人呼んで猿飛佐助、お館様のところでお世話になってる者でーす」
そう言って佐助が手を差し出すが長政は握り返さずに佐助を見ておった。佐助は首を傾げておったが儂も理解出来んかった。握手はあ奴にとっては"正義"であろう筈だからじゃ
「……えと、どこかでお会いした事…ありましたかねぇ〜?」
手持ちぶさたな手をヒラヒラとさせて佐助が困った様に訊ねると、長政は嘲る様に鼻で笑った
「この私を覚えていないのか?影ながら奴の所業に手を貸していたであろう貴様を、私は忘れてはいないがな」
「……!?…アンタ………」
佐助は驚き、しかし直ぐに睨みを利かせた顔へと変えた。だが長政がそれに怯む筈はなく、それどころか笑みだけを浮かべて口を開いた
儂はその様子を二人を交互に見ながら黙って聞いていた
「安心しろ、私は改心しようとしている奴にどうこうするつもりはない。現に今、貴様等は武田師範の"監視下"にある」
「……………旦那に、そんな言い方、してないだろうな」
「…私が言わずとも奴は「二人して儂を無視するでなァーーーい!!」
勢い良く二人の肩を叩いたら、二人は前のめりに倒れ込んだ。人を無視して会話を続行し続けるとは…少しは我慢しておったがもう我慢できんかったわ!!
まぁ、このまま我慢したところで良い事など起きはせんかったじゃろうがな…
「これも…全て、市のせい……」
先程まで黙っていた小娘は佐助と長政を見ながら…ではなく、幸村のいる方を見ながらそう呟いておったのじゃった
(信玄と長政と幸村と佐助と市)
長政と佐助は本当に仲悪そうなイメージがあります
10.09.08