Basara
□御題挑戦A
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音を奏でて(半兵衛と)
「リード・オルガン、か…」
視聴覚室にあるオルガンは少々埃っぽく、殆ど使われていない感がでていた。もう掃除も終わったし…と思い、蓋を開けて足踏みの場所に足をかける。そして軽く足踏みをしながら鍵盤を叩く
「使えるな…」
ドレミファソラシド、と順番に音を奏でる。オルガンに触れたのも久しぶりだし、折角なので何か一曲弾こうと考えていたら、扉が開き、人が入ってきた
「あぁ、君か……毛利君」
「フン、貴様か……竹中」
相変わらずの態度に不快は覚えるものの、ここは黙っておく。つまらない喧嘩をしても仕方が無い事などわかっているからだ
「ここに何か用かい?なら、僕は失礼するけど」
「いや、この部屋から音が聞こえたから、誰が弾くのかと興味をもったのだが…」
「へぇ…君が興味を持つなんて珍しいじゃないか。音楽が好きとは思えなかったが……。オルガンでも好きなのかい?」
軽く挑発するように言ってみれば、彼はやはり表情を崩さずに、
「貴様には関係の無い事だ。それよりも弾かないのか?…竹中」
挑発には挑発を、な彼に乗っ取る事にする
「………フン、そうだね。じゃあ…軽く……」
そう言ってやり、僕はオルガンと向き合い、引き出した。「運命」…わかりやすいように有名処を弾いてやった。自分でいうのも何だが、中々上手く弾けていると思う。今はもう習ってはいないが、ピアノを昔かなりやっていたからね…
毛利君は演奏が終わるまでそこにいた。ただ黙って腕を組み、聞いていた
演奏が終わるとすぐに背を向けたので、黙って去るのかと思いきや、背中越しにこう言った
「貴様そのもの…と?笑わせるな…。貴様には過ぎたものだ、似合わん」
扉が閉まり、僕はオルガンの蓋を閉めた。彼が本当は何を言いたかったかなど知る筈も無い、知りたくも無いが、一杯食わせる事は出来た様に感じた
閉まっていたカーテンを少しだけ開いた。薄暗かった部屋に、薄く夕暮れかかった光が差し込み、
少しだけ、明るくなった
音を奏でて
Fin.
(半兵衛と元就)
智将二人だけは息が詰まりそうだ(笑)
09.09.22