Basara
□御題挑戦B
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美しい文字(氏政と)
「何とも…美しき字体でござるな」
薄っぺらい歴史雑誌を持ち、レジにやって来た小童が、財布を取り出すでなくそう言って来おった。小童が向いている方を見ればそこには巻物あり、それは広げられて立派な額に入れられておる。広げられている中には『北条家に栄光あれ』と凛々しくデカデカと書かれておった
「ふむ、ダテに歴史をかぢってるだけあって、あれの素晴らしさが解るのかのぉ?」
「ぬ?いや、某は字体の話を…」
「あれは遠き御先祖様から代々伝わる北条の家宝でのぉ!過去の物だから価値があるとか馬鹿な奴らはほざくが、本当の価値はそうではない!未来を思い、これを先祖代々から護り語り継いでいったこの熱き想いが立派なる価値なのぢゃよ!!」
あぁ、御先祖様方の事を思うと、何とも素晴らしき思いなのぢゃろうか…!ワシは御先祖様方に思われて幸せぢゃ!
「…おぉ!小太郎殿も字が綺麗でござるな!!」
「…………………………」
ふと我に帰れば、いつの間にか帰って来た小太郎のノートをあの小童は見ていた。小太郎の字はワシが教えたのぢゃ、綺麗に決まっておろうが!
「………あ、話が終わったならばお会計をお願いしたいのでござるが…」
………ふむ、やはり小童にはこの話はちと荷が重かったかのぉ…
また小太郎にでも話すか
美しい文字
(氏政と幸村と小太郎)
幸村のスルーの仕方は天然です(笑)
Fin.
10.06.04