Basara
□学園BASARAB
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第三章 『準備期間』
025(成実と)
陽気な空気はまさに五月そのもので、時たまに吹く春の終わりに近い風が心地良く、過ごしやすい気候だ。先程すれ違った小十郎さんなんか「今日は洗濯日和だぜ」と洗濯かごいっぱいの洗濯を掲げながら、顔に似合わない事を言っていた
既に干されている洗濯物が見える縁側を通り、綺麗に掃除された廊下を歩き、やっと目的地の梵の部屋に辿り着く。梵の部屋は玄関から二番目に遠いから行くのは面倒だよなぁ…そう思いながら俺はノックもせず遠慮無く扉を開ける。扉を開けると、梵は宿題をやっているのか、ノートと教科書を広げていた。…性格に似合わず
まぁ、宿題をやっていようがいまいが関係無い。俺は遠慮無く梵に声をかけた
「梵!何で俺には聞かなかったんだよ〜」
「Ha?…What?」
「真田幸村先輩について!小十郎さんには聞いてさ〜、俺には聞いて無いじゃん!」
前にチカに聞いて知った事。梵はあちらこちらに真田先輩の事を聞いていたらしいけど、俺には何の話も来なかった。従兄弟だからか!?知らないとあらかじめ予想していたからか!?とにかく仲間外れは酷いじゃないか!!
すると梵は眉を潜めて「Ah…」と呟き、
「Sorry,sorry.……で、奴について何か知ってたのか?」
「いや、何にも」
俺がそうはっきり言うと、
「……だったら文句言うんじゃねェよ!」
怒られた
俺は仲間外れにされたのが嫌だったのになぁ…。…まぁ、梵に言いたい事は言えたから満足したし(何しに来たんだとか言うなよ!いつも用事なんてこんなもんで来るんだからさ)宿題を邪魔したらまた怒られるだろうと思って戻ろうとしたら、コンコン、とノックの音がした
「政宗様……………お客です」
「ん?どいつだ?」
「…それが……って、テメェ!勝手に入ってくんな!!」
扉向こうから小十郎さんの怒声が聞こえ、俺は気になって扉を開けようとしたら、向こうから思い切り開けられた。俺はその扉に思い切り潰された
はい、お決まりだよ畜生ォ!!
「やぁやぁ、ごきげんよう…独眼竜」
「テメェか……松永」
相変わらずの悠々とした松永の声と梵の嫌そうな声が聞こえた。扉のせいで見えないが、多分梵の顔はそれ相応の顔をしているに違いない
俺は鼻をさすりながら扉を押して隙間をつくり、抜け出した
「What did you come?」
「遊びに来たのだよ…。何だ、この家は客人にお茶も出さないのかね?」
「Appointment無しの人間に出すモンなんて無ェんだよ。Return.」
「政宗様!」
急に小十郎さんが間に入って制したので驚いた。梵も驚いたようで、「?」を浮かべていた
「お忘れですか、政宗様…!」
「おやおや、片倉君の努力は無駄となったか。私は君のクラスが勝ったので、約束通り君に情報を提供しに来たのだがね…」
「……………Oh,そんな話だったな」
梵!忘れるなよ!小十郎さん頭抱えてさりげにため息ついてるじゃん!松永なんかその反応を待ってましたみたいにニンマリ笑ってるし!!
そう、試合後にチカに聞いたんだけど、松永と小十郎さんは春のドッジボール大会で真田先輩についての情報を賭けていた。つまり、梵や小十郎さんのいる2年1組が勝てばその情報を提供する、と
そして梵のいるクラスは窮地にいたものの、松永のクラス…2年3組を倒し優勝することが出来た…という訳。さすが梵!!
…まぁ、最後の真田先輩も凄かったけど
そんな事をすっかり忘れてたっぽい梵は、深くため息をついてから俺に向いた
「時、tea.」
指を三本立て、しっかりと俺をパシった
(成実と政宗と小十郎と久秀)
しかも成実の茶は要らないから、っていう政宗(笑)
こういうオイシイキャラがいいんです
09.10.13