BASARA2
□純白可憐
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(鶴と)
「そこ!ダラダラシャツを出さないで、きっちり服を着て下さい!!大丈夫です、貴方ならきっとできますから☆」
今日のわたしも忙しい。風紀の乱れているこの学園をわたしが正していかなくてはいけません。だってわたしはこの学園が大好きなのです。大好きだからこそ、皆も同じ様に大好きになってほしいし、皆が過ごしやすくなってくれる様にわたしは頑張るのです
だから学年を越えてもわたしは活動を行っているのです。学年の壁などわたしには関係ありませんから☆
最初は"恥ずかしがって"中々行動を起こしてくれませんでしたけれど、わたしが何度も言ってあげれば皆ちゃんとしだしてくれました。やっぱり言い続けていれば気持ちは伝わるものなのですね!
だけど、それでもまだわたしの気持ちが伝わってくれないシャイな人達がいるのです
「いーじゃねーかよ、タルい授業くれぇ寝てたってよ〜」
サボり魔、伊達政宗君
「だって、お腹空いてたからさ〜!鶴ちゃんも食べるかい?」
早弁魔、前田慶次君
「うっせーな、朝は寝坊しちまうんだよ!!」
遅刻魔、長曾我部元親君
「勉学の出来ぬ奴を下衆呼ばわりして何が悪い」
独裁者(←)、毛利元就君
「うるさい!上杉先生を厭らしい目で見ていたからだ!!」
暴力魔、鉢ヶ峰かすがさん
「え?だからこれはお洒落だってば〜」
「…………………………」
顔に落書き魔、猿飛佐助君と風魔小太郎様…!!何故その汚れを落としてくれないのですかっ…!!
何度言っても直してくれないシャイな彼等はよく皆さん一緒にいます。類は友を呼ぶとはこの事なのですね
しかし…その集まりの中で一人、気になっている人がいるのです
真田幸村君
熱血で叫ぶと声がでかく、いきなり廊下を走り出す等過去に様々と迷惑をかけていた彼でしたが、わたしが注意をするとやめるよう心掛けてくれたのです。今では廊下は走るのをやめて(急ぎの時は早歩きをしていますが)叫び出すのも両手で塞いで堪えてくれています
そうして正していった彼ですが、それでも一人…あの問題児達の中にいるのです。これでまた感化されてシャイになってしまったら大変です。わたしが何とかしてあげなければいけませんよねっ☆
「真田君!」
「ぬ?伊予河野殿…?」
そういえば彼は唯一わたしの苗字を最後まで呼ぶ人かもしれない。先生でさえ伊予で止めてしまいますから…
「何故、いつも彼等の側にいるのですか?やはり、お友達だからですか?」
そう首を傾げて訊ねてみると、彼は同じ様に、しかし不思議そうに首を傾げて、
「彼等とは友人ではないでござるよ」
と返された。そうしたら益々解りません。友達でないのに何で一緒にいるというのでしょうか
「…そういえば、伊予河野殿は…いつも一人でいるでござるな」
「え…?」
そう言われて驚いた。確かにわたしは一人で行動をしています。でもそれはわたしには学園を…皆さんを正して楽しく過ごすという使命があるからなのです。わたしがのんびりしている暇など、無いのです…
「…たまには、息抜きも必要でござるよ」
「!」
わたしの考えを見透かした様に、彼はそう言って、
「一人で頑張られても気疲れしてしまう故、宜しければお昼の時間くらいは此方へ来て、皆で食を囲んでみては如何でござろうか」
「………」
「皆で食す飯はまた一段と美味でござるよ」
そう言って綺麗に笑った彼を見て、
わたしの使命だと言って乗っけてきた肩の荷が、少しだけ降りた気がした
そしたら
嬉しくなって、
寂しくなって、
泣きたくなって、
堪えきれなくなって、
ぐちゃぐちゃになって、
彼に飛び付いてしまいました
風紀委員の休憩所
fin.
(鶴と幸村と仲間達)
10.06.29
(10.08.11一部口調訂正)