BASARA2

□多生之縁A
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(宗茂と)










「手前、何よりも書を読むのが好きなのですよ」



そう言うと目の前にいる彼は不思議そうに首を傾げた。別に意外だと驚かれた訳ではないのでまだいいのだが、何で首を傾げられたのかが解らない



「(ワシが書を読む姿はそんなに似合わないのかなぁ〜?)」

「しっ、失礼致した!ただ、それよりも雷切を使っての鍛練や手入れしてる姿の方が似合うと思いまして…」



成程、そういう意味での疑問視だったのか。そして勉学よりも日々の鍛練を取っている彼ならではの疑問だとも思えた



「(良かった良かった〜、てっきり勉学出来ないようなおじさんに見られているのかと…)」

「…立花殿?」

「!…あぁ、すまない。少し考え事をしていた(しまった、彼の存在を忘れるとこだった!!あー、危ない危ない)」



不思議そうに首を傾げたままの彼に、ワシは持っていた書の一つを渡した。最近読み進めている光源氏の書である



「この物語はですね、平安朝中期を舞台にし、天皇の皇子として生まれ、才能・容姿ともにめぐまれながらも彼の栄華と苦悩、また彼を取り巻く女性の恋愛模様等々を描いた作品なのですよ」

「はっ、破廉恥なり!!」



受け取り、中を開こうとした彼が手を止めて書を落としてしまった



「(まさか彼…初なのか?いやー、ワシにもそんな時代があったなぁ〜…)…ははは、まぁ最初の方は苦悩について描かれておりますから、それだけでも読んでみると面白いかと…」

「…は、はい、それは良い案に思いまする。某、戦国物ばかり読んでしまう故、たまには違う時代の物も読んでみたいと思っておりました候…」

「なら、丁度良かったのかもしれませんね」



そう言いながら彼が落とした書物を拾い渡すと、今度はしっかりと受け取ってくれた。そしてその書を開き、読み出した

最初は眉を潜めて読んでいたものの、暫くすればその書の世界に入り込んだ様に夢中になって読み耽ってしまっていた


自身の子供の頃を思い出すようだ。そういえばワシも…こうやってしがないオジサンに薦められて読み出したのだったかな、と





こうして書は渡り、人に読み継がれていく



だからこそ温かみがあり、心地が良いものなのかもしれない










「(さて、ワシも光源氏の第二部を読むか)」



持っていたもう一冊の書を開き、彼の横で読み出した










読み耽る前にふと、彼を見た





その時、いつもとは違う彼の一面を見た気がして、小さく笑みが零れたのだった










「(あ、髪に綿埃がついてる)」















を読む手と揺れる髪










fin.

(宗茂と幸村)

大友軍好きだァァァ!!←

10.12.18
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