BASARA2

□多生之縁C
2ページ/11ページ




(元就と)

※現代パロ
※二人は幼馴染み










「うむ、これは悪くないでござる」



おかきを食しながらそう言ったのは幼馴染みである真田幸村。昔から毛利家の…我の店の和菓子の味を最も知る者である。それ故に新作が出来れば奴を招き、試食させているのだ



「フン、当然よ。今回のは自信作なのだからな」

「うむ、この歯応えがありながらももちっとした食感…そして何よりもこの辛味醤油なる味付けが絶品でござる!!元就殿、一体どうすればこのような味を生み出せるのでござるか!?」

「愚か者が、企業秘密に決まっておろう」



あの秘伝のタレこそが我が店の伝統の味であり、誇りでもある。あれは分量を僅かでも間違えれば最低の味と化す。それ故にあのタレを作れるのは代々から業を受け継いでいる毛利家の者だけなのだ










「幸村、」

「何でござるか?おかわりならば是非喜んで「昔から毛利と真田は交流があった。…それは何故だか解るな?」



おかきの入っていた篭を掲げていた幸村はそれを残念そうに下げて答えた



「仕事上…また、某達真田の舌を見込んで…でござろう?…つまり元就殿は某に仕事をせよ、と言っておられるのでござるか?」

「それもある」



そう言うと幸村は脇に置いていたスーツケースから書類を取り出し、我に渡してきた



「…と、言いますと?」

「我は最近、思うのだ。歴史と今を辿り見ると、貴様等の働きが我等にどういう影響を及ぼしてきたのか、と」

「?」



我の家のやり方は他の企業のやり方と違う。その大きな点が、新商品であれ何であれ…それを決めるのは、最終的に我等毛利家ではなく真田家の者なのだ
それ故にこの男が頷けば新商品として店頭に並ぶし、首を振れば全てやり直しとなる。毛利家の味の全てはこの男にかかっているというのだ



「この店は百年程前から開いたと言うが、実際はもっと昔から…本当に小さな店から始まったそうだ。遥か昔から…歴史には残されてはいないが、もしかすれば戦国の世にまで遡るかもしれん」

「………」

「そう思うと面白いものよ。実際、貴様等との関わりも何時からかも解らぬしな」



目を閉じ、そしてゆっくりと開く。つまらぬ会話をしたと呟くと、幸村は空になった篭を今度は両手で掲げた










「しかしそれ故に互いが存在し成り立ち、元就殿も某も…人を喜ばせる事が出来ているのでござる。某はそれが、とても嬉しく思いまする…」










我等は人を喜ばす事などどうでもいい。ただ毛利家の安泰があればよいのだ

しかしそれは真田家を喜ばせないと得られぬ。そして奴等が喜ぶ時、それは客が喜ぶ時だというから不思議なものよ










我には出来ぬ笑みを浮かべた幸村の手から

我はゆっくりと篭を受け取った










「……フン、おかわりはやらぬ」

「ぬっ、けちでござる!!」





この先も長々と付き合う形となるのだろうか。我が腕と奴の舌。此方としては厄介この上無いものだが、仕方があるまい

我が為に、この先もしかと働くがよい



その道が続く先まで















前が居れば怖くない










fin.

(元就と幸村)

お前がいれば安泰…的な内容を書きたかったんです。そうすれば元就は一人では生きないだろうと思ったので

11.01.14
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ