Basara
□学園BASARAA
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015(元就と)
「真田幸村?」
我は家の門をくぐった先に居た人物に問う
「左様。某、御礼をしたく参った次第でござる。何か某に出来る事はないでござろうか」
溜息が出た。礼とは昨日の事の何かだろうが…
「…礼など要らぬ。構うな」
すっぱりと断りを入れ、横を通る。「お待ち下され毛利殿!」などと聞こえたが無視だ。無関心を貫けば人は寄らなくなる。そうだ、なる筈なのだ
なのに何故『奴等』はやってくるのだろうか
忌ま忌ましい
「…なら、問いに答えろ。真田幸村」
「はっ、微力ながらお答えさせて頂く所存!どのような問いでござろうか?」
「どうすれば、必要以上に人は寄らなくなる?」
『我が家の味』を好む客は構わん。だが、我と私情を挟んだ客など要らぬ
我を知るなど愚かな事よ。我は我が知れば良い事
自分の場所やら友人とやらが欲しければ、他を当たれ。我に構うな
我にそのような者は、必要無い
「無理でござる」
しかしあっさりと奴は言った
「それでも、毛利殿が必要な者が要るのでござる」
嘲笑が込み上がった
「…似通った者なら他にいくらでも居るわ」
「それでも、毛利元就殿は一人しかおらぬ」
馬鹿の様に綺麗事を抜かす
だが、この苛々とする感情は何だというのか
解らない、解りたくもない
「礼は受け取った。去れ」
「では何故毛利殿は屋内に上がらせて下さったのでござるか?」
「我が家の評判を落と「佐助や伊達殿や長曾我部殿は?某だけでなかった」
「勝手に潜り込んだだけの事よ」
「様々な事が矛盾しておりまする、毛利殿。認めて下され!毛利殿が誠は…「黙れ!」
苛々が積もっていく
我が何を認めたくないと言うか
「………一度我と口を聞いただけで調子に乗るとは…愚かな者よ」
吐き捨てて、背を向け歩を進める。真田はそれ以上何も言ってはこなかったが、後ろからついてきていた。同じ学校に行くのだからついてくるのは当たり前なのだが、どうも落ち着かなかった
「あぁ、昔か………」
この苛立ちが、過去にもあった事を思い出す。声に出す気は無かったが不意に出てしまったようだ
「……?」
そしてその呟きが真田にも聞こえたのだろう、先程よりも距離を詰めたが、横には並ばなかった
…律儀な奴だ
「何でも無い、ただの腐れた縁の記憶よ」
そう言ったきり、黙って歩を進める
学校はもうすぐそこであった
(元就と幸村)
09.07.26