Basara

□学園BASARAA
3ページ/12ページ




015(元就と)










「真田幸村?」



我は家の門をくぐった先に居た人物に問う



「左様。某、御礼をしたく参った次第でござる。何か某に出来る事はないでござろうか」



溜息が出た。礼とは昨日の事の何かだろうが…



「…礼など要らぬ。構うな」



すっぱりと断りを入れ、横を通る。「お待ち下され毛利殿!」などと聞こえたが無視だ。無関心を貫けば人は寄らなくなる。そうだ、なる筈なのだ





なのに何故『奴等』はやってくるのだろうか


忌ま忌ましい










「…なら、問いに答えろ。真田幸村」

「はっ、微力ながらお答えさせて頂く所存!どのような問いでござろうか?」





「どうすれば、必要以上に人は寄らなくなる?」





『我が家の味』を好む客は構わん。だが、我と私情を挟んだ客など要らぬ

我を知るなど愚かな事よ。我は我が知れば良い事

自分の場所やら友人とやらが欲しければ、他を当たれ。我に構うな



我にそのような者は、必要無い










「無理でござる」



しかしあっさりと奴は言った



「それでも、毛利殿が必要な者が要るのでござる」



嘲笑が込み上がった



「…似通った者なら他にいくらでも居るわ」

「それでも、毛利元就殿は一人しかおらぬ」



馬鹿の様に綺麗事を抜かす





だが、この苛々とする感情は何だというのか







解らない、解りたくもない





「礼は受け取った。去れ」

「では何故毛利殿は屋内に上がらせて下さったのでござるか?」

「我が家の評判を落と「佐助や伊達殿や長曾我部殿は?某だけでなかった」

「勝手に潜り込んだだけの事よ」

「様々な事が矛盾しておりまする、毛利殿。認めて下され!毛利殿が誠は…「黙れ!」



苛々が積もっていく

我が何を認めたくないと言うか



「………一度我と口を聞いただけで調子に乗るとは…愚かな者よ」



吐き捨てて、背を向け歩を進める。真田はそれ以上何も言ってはこなかったが、後ろからついてきていた。同じ学校に行くのだからついてくるのは当たり前なのだが、どうも落ち着かなかった



「あぁ、昔か………」



この苛立ちが、過去にもあった事を思い出す。声に出す気は無かったが不意に出てしまったようだ



「……?」



そしてその呟きが真田にも聞こえたのだろう、先程よりも距離を詰めたが、横には並ばなかった

…律儀な奴だ



「何でも無い、ただの腐れた縁の記憶よ」



そう言ったきり、黙って歩を進める


学校はもうすぐそこであった










(元就と幸村)

09.07.26
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ