Basara

□学園BASARAB
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027(秀吉と)










春といえどまだ早朝の風は冷たい。ここは公園。公園といえど小さき公園では無い。我のように大きし公園だ

こんな早朝から何をしているかといえば、待ち伏せだ。我と半兵衛は目的の人物を待っていた



一時間経過してやっとその人物はやってきた。「やはり、情報通りだね…」と半兵衛は呟く。情報通りだというのに一時間も待ったのは、念には念を押して情報の時間の一時間前に待機するようにしていたからだ


目的の人物が近付いてくる。半兵衛が口を開く。待ち伏せ中に冷え切ってしまったのか、酷く掠れた声だった



「真田幸村君…君がそうだね?」



半兵衛は待ち伏せしていた人物、真田幸村を見下ろしながら笑いかけた。何故真田を見下ろしているかと言えば、我等がそう…ジャングルジムで仁王立ちをしているからだ。高き者は高き場所にて待つ。半兵衛の良き案だ


しかし真田は我等を無視した。何と、そのままジャングルジム前を通過しようとしているのだ

ま、まさか…



「………他人の空似か?」

「そんな訳ないだろう!僕の声が掠れて聞こえなかっただけだ。秀吉、君のゴリ…デカイ雄叫…声で呼び止めてくれ!」



ゴリデカイオタけ声!?凄くデカイ大きい声という事だろうか?そうだと信じて、我は口を開いた



「真田幸村!!止まれ!!」



早朝の空気を振動させ、今出る最大ボリュームで真田を呼んだ。声は真田に届いたらしく、足を止めてこちらを向いた



「…何故、某の名を…?」



真田の格好は上下ジャージ姿に首からはタオルをかけている。情報通りならばジョギングをしている最中の筈で、この情報も確かなものだろう



「誰かさんのお陰で、君の名は殆ど知れ渡っているよ」

「そうだ、慶次だ」

「…秀吉、そこは言わなくていいんだよ」



ふむ、丁寧に言ったつもりだったが要らぬ台詞だったようだ



「話をしたいんだが…いいかい?」

「………降りて、下さるのならば…」



真田が周りを見ながらそう言った。我も周りを見ると、散歩をしていた老人や真田と同じくジョギングの最中の奴等がこちらを見ていた

周りの注目に怯えるとはな、小さき男だ



「ふふふ…周りなんて気にしなくてもいいのにね……。秀吉、降りてあげよう」

「わかった、半兵衛」



そう言い、半兵衛は軽やかに、我は重々しく着地する。高き場所から飛び降りた反動からか、半兵衛が咳込んだので、すかさず我が背をさすった



「…………………………」



真田は気まずそうにこちらを見ていた



「…ハァ……すまない、じゃあ移動しようか…。何か飲みたいからね……」

「我が奢ろう。ついてこい、真田幸村」

「…はぁ……………」



我は半兵衛を支えながら歩きだした。訝しげに、しかししっかりと真田はついてきた



「…大丈夫でござろうか………」



真田の不安の表れた小さき呟きを、我は聞かなかった事にした
















(秀吉と半兵衛と幸村)

ツッコミ所満載です、ウチの豊臣勢は

09.10.17
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