Basara

□学園BASARAD
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051(慶次と)










「入口から一斉に入りぃ〜、見事"印"を持つ化物となった者を見つけ出し、"印"を得るがぁ〜よい!!はじめぇぇぇ〜!」



つまりはチームとなった人達と一緒に、印を持っている先生を捜し出して…で、見付けたらその先生から印を貰うというルールだ。ただ、教員達主催のこのゲーム、かなり容赦が無い上に誰が持っているかが中々解らないので一筋縄ではいかないんだ





「去年はさ、こじゅ先が印持ちっぽかったらしいんだけどさ〜、見事お化け役…っつーかヤクザの亡霊役がピッタリで、そりゃあもう恐ろしくて容赦も無くてさ〜…リタイアする人間続出!んで結局、去年は誰も印を取れなかったんだよ」

「そうなのでござるか…」



廃校舎を歩きながら、去年の出来事を軽く同じメンバーで今年度に転入してきた幸村に話して聞かせる。とはいえ、既に去年の出来事なのだ、恐ろしかったとはいえ…今ではいい笑い話にはなっている



「でも今年はこじゅ先いないみたいだし…今年は楽に取れるかもなっ!」

「ぬ、楽は嬉しくないでござ…るっ!?」



何かに引っ張られたような変な声を出して来たので何だろうと振り返れば、その原因は幸村の長い後ろ毛を引っ張っている人物にあった










「…なっ、なぁ……さっきあっち…ひっ、光らなかったか…?」





そう、かすがだった


…ってか、あれ?女の子らしくこーゆーのに怖がる子だったんだ…



「痛たたたたっ…!!いっ、痛いでござるぅっ…!!」



しかし幸村の髪の引っ張り様は見ていても抜けるんじゃないかと思う位に半端無かったので、とにかく手を離させてやった



「じゃあ、ちょいと行ってみるかい?」



そう提案すると、かすがは首を思いきり横に振った。幸村の肩につかまっているので、幸村も同じ様に揺れた



「はっ、鉢ヶ峰殿っ…!!はっ…離れて下されっ…!!」

「ほら、気のせいだって証明しよーよ!それに先生かもしれないしさ!」

「……そっ、そうだな………って言うか、当たり前だろう!!気のせいか先生かに決まっている!!」



そう言うとズカズカと先程の気になった場所へ、幸村を盾にしながら進んでいく。幸村は赤くなりながら何かブツブツ言っていたが、聞き取れなかった。どうせまた破廉恥だとか言っているんだろーけどね





そして問題の場所…会議室へ辿り着くと、一人…窓際に誰かが佇んでいた。しかし月の光の逆光と背を向けていることで誰かが解らなかった。すると幸村が手に持っていた懐中電灯をそいつに向けた



「……だっ、誰だ!!貴様は!!」

「ふふふ、ひどいですねはちがみねさん。わたくしのかおをもうわすれてしまったのですか?」



かすがが勇気を出して叫ぶと、その"誰か"は答えた。誰なのかは既に平仮名文章で解っただろう。俺は声をかけようとしたが、先に謙信が振り返った















振り返った顔は、真っさらだった





「まぁ、すでに…かおはうしないましたがね……」





どうやらのっぺらぼうの仕様らしい。まぁ、ちょっとは驚いたけど、俺が一番気になったのは…あの顔でこちらの姿は見えてるのかどうかだった

で、かすがはというと…かなり驚かされたらしく、声も出ずに震えながら幸村の腕を握り潰す勢いで掴んでいた。……いや、羨ましい通り越して凄い痛そうだから離してあげなよ…。爪立ってるし、幸村声に出さずに痛がってるし



「謙信、印…持ってるかい?」

「いいえ……さすがにいたずらっこのけいじはおどろきませんか」

「まーね!じゃあ他を当たってみるよ」

「ええ、おきをつけて」



とにかくここから離れる事にしよう

俺は苦笑いをしながら動かない二人の背中を押して、その場を後にしたのだった















(慶次と信長と幸村とかすがと謙信)

10.02.17
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