Basara

□御題挑戦B
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裏道を抜けて(元親と)















乾いた空気が肺に入っては吐き出される。それを冷たい地面に寝転がりながら繰り返す。だが今はそれが丁度良かった

まだ埃っぽい空は既に真っ暗で、取り付けられた豆電球だけがずっと俺達を照らしていた





「……テメェがあの…『独眼竜』だったのか…」

「アンタこそ、『鬼ヶ島の鬼』…か…」





二人アスファルトに転がりながらケタケタと笑う。笑うと殴られた腹が悲鳴をあげて痛かったし、口には滲んだ血の味が広がっている。久しぶりにここまでダメージが来た気がする。でも、満足はしていた

すぐ右を見ると、向こうも同じ気分なのか 痛みに眉間に皺を寄せながらも、口元は気分良く笑っていた





すると、隻眼同士、目が合った





「……What's your name?」

「…何て言ったんだ?」

「…name、名前だよ」

「チカでいーよ」

「解った」

「………ワッチネーム?」

「What's your name?だ。習っただろ?」

「知らね」

「……政宗だ」

「解った」





そして、どちらかともなく笑った















既に埃っぽさは無く、ちまちまと星が光っていた

まだ所々は痛いが仕方が無ェ。俺は立ち上がり、衣服についた埃を軽く叩き、政宗に手を差し出した



「……この俺に、手を出すか……元親」

「知らねェよ、政宗の事情なんざ」



そう言ってやると、「違いねェ」と言って政宗はニヤリと笑った。俺も笑い返してやる。政宗の差し出してきた手を掴んで引っ張り起こし、俺達は歩き出した





「腹減った」

「同意見だ」



ここを抜けたら、コンビニ一直線だな

瞬く星を見ながらそう思った















裏道を抜けて
















(元親と政宗)

二人の出会い編の一部…らしいよ(ぇ)

10.02.01
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