いちご†盗人
□9、Like a mystery.
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電話は、董胡から叶への緊急連絡だった。
明日のスポーツ新聞にナツの熱愛記事が掲載されるから、外出を控えろ、という例の。
それを聞いて、叶は酷くショックを受けた様子で頭を抱えてしまった。
裸の上半身にはバランスよく筋肉がついているものの、肖衛よりは幾分細くてたよりない。
「兄ちゃんにどう詫びたらいいんだよ。ナツのこと、護るように言われてたのに……っ」
君に気をとられていた所為だ、と理不尽に責められても、否定する気はおきない。
だって―― さっき、震えている様子に気付いてしまったから。
「真人に……真人さんに頼まれてたの? 肖衛のこと」
「そうだよ、悪いかよっ」
「ううん」
なんだか、弟を思い出してしまう。
あのときの奏汰も、必死で泣くのを我慢してかすかに震えていたっけ。
「“兄ちゃん”のこと、本当に大切に思ってるんだね」
必死だったんだろうな、なんて言ったら、未知にはまた小突かれそうだけど。
重なってしまう。その、懸命さが。
「これからも護ってあげてね、肖衛のこと。叶みたいな仲間がいてくれたら、安心だよ」
言うと、叶は意外そうに目を丸くした。「アンタ、ナツのこと」遮るように、私は尋ねる。
「……ねえ、真人さんはいいおにいさんだった?」
これ以上肖衛のことを考えていたら、泣いてしまいそうで。