いちご†盗人
□4、Look before you leap.
1ページ/20ページ
1
主婦って、慌ただしい生き物だなと思う今日この頃。
感覚的に言えば、忙しい、とは少し種類がちがう気がする。どこか―― そわそわしているというか。
家事なんて、書き出してみれば限られた行為なのだ。だから、世の旦那樣方には主婦業なんて暇ばかりだと思われているのかもしれないけれど。
家事は丁寧に進めようとすればするほど、工程が何倍にも膨れ上がる不思議な仕事だ。
走り回るわけではないけれど、立ち止まっている暇はない。
だから、“慌ただしい”。
新米の私も例に漏れず、まず、起き抜けから肖衛を送り出すまでの一時間なんてまさに戦いだったりする。
コーヒーメーカーをセットし、ドリップをしている間に、朝食とお弁当の準備を同時進行でこなすのだ。
そのお弁当はというと、三週間前に始まった習慣。残り物を詰めてあげたら好評だったから、以来欠かさず作っている。
でも、これは義理といえるのかどうか、非常に難しいラインだ。
だって、毎日笑顔で空っぽのお弁当箱を差し出される喜びったらない。
つまりお弁当作りは、結婚後初めて私が自力で見つけたささやかな楽しみだった。
未知には尽くし過ぎだとまたケータイで殴られそうだから秘密にしておこうと思う。