いちご†盗人

□6、I'm hooked on…….
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「へとへとォ? おまえ、まだ十六だろうが。俺が十六の頃っつったらなァ」

「昼まで寝てて、夜どおし暴走してたって母さんが言ってたわ」

「……くそっ、おふくろ……ボケたふりしてしっかり覚えてやがるぜ」

「グダグダ言わずに働きなさい。古ぼけたポンコツこそ、定期的に動かさないと錆び付いてあっという間に廃棄されるんだから」

「ポンコツかよ。せめてフリマで売ってくれ」

「あんたじゃ引き取りの業者に高いリサイクル料金を請求されるのがせいぜいだわ」


 容赦ない。

 苦笑う私達を横目に、柳は廊下でひとり黙々と段ボールを組み立てている。目が合うと、小さく会釈をしてくれた。

 なるほど、と思った。

 クアイエットゾーンをまとめあげているのが美鈴さん、縁の下の力持ちが柳さん、そして実質的に動かしているのが肖衛、という構図か。

 自分にも何か出来ないかな、なんて思うのは、やはりあのことを知ってしまったからだろうか。

 肖衛の両親と、弟さんのこと。

 一人暮らしの肖衛がひとり、あれだけ大きな屋敷に住んでいること、不思議には思っていたけれど――。

 家族を待っていたのなら、それも頷ける。

 九年と言う長い歳月をひとりで過ごしてきた彼の背中は、私の目にいっそう細くうつった。

 肖衛の役に立ちたいと、初めて思った。

 だから今日こうして呼び出してもらえたのは、実際、願ったり叶ったりだったのだ。


「聞いたんだ? あいつの家族のこと」


 背中から核心を突かれて、シンクを磨く手を止める。

 振り返ると、董胡がいかにもサボタージュ真っ最中、といった体で缶コーヒーBOSSブラック無糖を傾けていた。


「肖衛がそう、言ってましたか」

「まあな。あいつ、スゲエ後悔してたぜ」

「後悔?」

「ああ。芹ちゃんに会って理由がわかった。モロに同情が顔に出てるから」


 痛いところを指摘されたな、と思った。出していない、つもりだったのだけれど。
 
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