いちご†盗人
□9、Like a mystery.
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まさか。
叶が彼?
そんなはずはない。だって彼は私より年上のはず。
しかし扉の向こうの少年は「そうだよ」と短く答えた。
「じゃ、じゃあ、メッセージをくれたのも、メールを送って来たのも」
「僕だ」
信じられない。
「よく聞いてね。条件はふたつ。ナツと離婚して欲しいんだ。そうしてこれ以上、真人兄ちゃんを追いつめないで」
え?
「な、なんで」
どうしてここで、真人の名前が。
「君はナツを利用して、兄ちゃんの居所をつきとめるつもりだったんだよね? 僕はそれが、両方許せないんだ」
「……は……?」
混乱しすぎて、なにから考えたらいいのかわからない。
「ね、どうして真人の話になるの。私が肖衛と結婚したのは……もっと違う理由だよ」
利用した、という一点においては否定できないけれど。
「ごまかさないでよ。昼間だって十三年前のこと、電話で尋ねてたじゃないか。探ってるじゃないか、真人兄ちゃんのこと!」
頭の中で、パズルのピースがひとつ、ぱちっとはまった気がした。
メッセージを送って来ていたのは叶。だけど、叶が彼だったわけじゃなくて。
本当の彼の正体は、真人――。
「うそ……」