いちご†盗人

□#An extra entertainment. 2
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 桂木未知(かつらぎ・みち)、あたしは外見だけ派手に着飾った、なりそこないのお姫さまだ。

 キラキラしたものが好き。ミニスカートもリボンも花柄も大好き。

 だけど、何を隠そう、中学校までのあだ名は“王子”だった。

 誰が言い出したんだか――まず“未知”が“ミッチー”になって、“ミッチー”がつまりあの男性芸能人に結びついて、それがいつの間にか“王子”になってた。

 呆れる。伝言ゲームかよ、って。
 呆れる、けど、頷けた。

 実際、あたしは女子の中にいて、いつだって男役だったから。

 それに、正直、わかってるんだ。自分が、“姫”には遠い人種だってこと。

 例えば外見をガツガツ飾ったってさ、敵わないんだ。守られるために生まれてきたような、天性のお姫さまには。

 小さくってふわふわしてて、世間知らずで考えが甘くて、体力がなくて、だけどどこか冷めてて、そこがまた可愛くて。

 派手じゃないのに、人目を引く。ほうっておけないと思わせる。抱き締めたくなる。そんな。

 そんな、あの子みたいな女の子にはさ。


 あたしは、多分、あの子になりたかったんだ。


 これは、なりそこないの姫が前の恋にさよならをして、次の恋に落ちるおはなし――。


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