いちご†盗人
□18、Where there's a will,there's a way.
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話があります――、そう言って両目を開けた彼はますます夏肖にそっくりで、私は息を呑むだけで精一杯になる。
うそみたい。
こんなにうりふたつの人間がこの世にいるなんて。
「びっくりさせちゃったかな。ごめんね、突然ふたりきりだなんて」
声も微笑み方もまるきり夏肖と同じだ。
寝たきりだったせいか若干弱々しいような気もするけれど……気のせいといわれればそれで納得してしまえる範囲内だ。
「いえ、そんな、こと」
辛うじて頷いたものの、声がわずかに震えてしまった。
何て言うんだっけ、こういうの。既視感? ううん、パラレルかな。平行した同じ世界をもうひとつ見ているみたいだ。
確かにこれなら辟易もするよ。と、夏肖の心情を垣間見た気がして、私は複雑な気分になる。
「実は美鈴さんには、夏肖に内緒で君とふたりきりにしてほしいってお願いしてあったんだ。まさかこんなに早くチャンスが巡ってくるとは思わなかったけど」
「そう、だったんですか」
「うん。……ねえ、芹生さんは夏肖のどこに惚れたの? すこし、聞かせてもらってもいいかな」
「え」
何を突然。
咄嗟に妙な笑いが漏れてしまった。照れ隠しに失敗したわけだ。
「す、好きになった理由、ですか」
言わなきゃ駄目かなあ。……駄目だよね。
「そう。良かったら教えて?」
「……えと……、正直、これっていう決定打には欠けるんです。最初は大嫌いだったし」
「なのに結婚?」