いちご†盗人

□18、Where there's a will,there's a way.
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 いや、あなたのおかげで籍はまだ入ってないんですけど。とは、説明するとややこしくなりそうだったので、そのまま続けることにする。


「……はい。気付いたらかかせない人になってて。何もかも、彼なしでは難しくなってて。悔しいけど、私の家族はあの人以外、ありえなくなってて……」


 もしかして肖衛さん、夏肖が自分になりかわって生活していたこと、知らないんだろうか。

 そんなはずないよね。仕組んだのは、この人なんだもの。でも、一体何故入れ替わりなんて……。


「じゃあ、夏肖のほうから押したんだ?」

「……そ、ういう事になると思います。最初は彼がナツだってことも知らなくて。あ、でも、ナツだってわかったから好きになったわけじゃ、なくてですね」


 照れもあって、上手くまとまらない。しかし肖衛さんは納得した様子で、良かった、と目を細めた。


「ありがとう、安心した」

「え?」

「ほら、僕達そっくりだろ。あっちで駄目ならこっち、みたいな女の子、結構いたから。でも君は、ちがうね」


 試されていたわけか。

 初対面なのにまたか、と思ってしまうのは同じ顔の夏肖に同じ手口で何度も騙されてきたせいだろう。

 それにしてもこの人、本当に弟のことを大切に思ってるんだなあ。尊敬に値するよ。

 と。


「それなら安心して、本当のことを打ち明けられるよ」


 肖衛さんはそう言って、頭をゆっくりこちらへ向けた。


「僕が……夏肖のふりをして、こんなことになった理由を」

 
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